地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2016年05月号 vol.2(5)

対論:ポリファーマシー問題とEBM

2016年04月19日 23:07 by syuichiao
2016年04月19日 23:07 by syuichiao

 

 医療従事者向けのウェブサイトに掲載された記事に奇妙なタイトルがついていた。

「EBMが通用しない、だからこそ面白い領域」

(日経メディカルオンライン 「記者の眼」 2016/4/11)

 これは「日経メディカルオンライン」という医療従事者向けサイトの記事タイトルであるが、どうにも当記事の執筆者、小板橋律子氏はEBMについて大きな誤解をされているようなので、対論させていただく。

 なお本稿の目的は当該記事内容の批判にあるわけではない。議論に検討を加えて、その内容を判定・評価することを批判と言うならば、議論に対する論理の矛盾を明らかにし、別の論理でもって対抗することを僕は「対論」と呼ぶ。つまり、批判は個人の価値観表明と言えるが、対論は言説の誤りを論理的に指摘することと捉えている。

 「日経メディカル」は医療従事者に対して、非常に大きな影響力を有するウェブサイトである。そのようなサイトにおいて、EBMに対する誤解を広められることは、医療全体にとっても益とはならないだろう。またポリファーマシー問題においてはEBMの実践が不可欠であると思われ、決して「EBMが通用しない」ということはないし、別に「面白い」問題でもなく、事態は深刻である。


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