4月に、米国人歌手のプリンスさんが急死されました。私は音楽に疎く「名前は知っている」という程度なので、その時はニュース・タイトルだけを読み流したのですが、その後、5月に入って、プリンスさんが死の前日にオピオイド鎮痛剤依存症治療の専門家と会う約束になっていたことが報じられました1)。この時には、タイトルを見た瞬間、我知らず、身体がガバッと椅子の背もたれから起きてしまいました。米国で医師に処方されたオピオイド鎮痛剤で依存症になる人が多発している問題については、2009年あたりからブログで情報を拾っていたからです。
昨年11月には、ジョンズ・ホプキンス大の研究者らから、「米国の致死的なオピオイド・エピデミック」を制すべく、医師や薬剤師への研修やガイドライン強化など、サプライ・チェーンに焦点化した対策が必要だとの提言が出たり2)、この3月にはFDAが長時間放出型の製剤で2013年に強化した警告表示を即時放出型の製剤にも適用するとのニュース3)を見たばかりでもありました。
私が「ファーマゲドン」「ピル・ミル(カネ儲けのために安易に大量の薬を処方する"薬の自動販売機”のような医師や診療所のこと)」などの文言と出会ったのも、たとえば以下のエントリーで読んできた、この問題の関連記事からでした。
米国の"鎮痛剤問題”(2012/10/19)
"オピオイド鎮痛剤問題"の裏側(米)(2012/10/20)
ファーマゲドン:オピオイド鎮痛剤問題の更なる裏側 (2013/1/4)
これらの情報から浮かび上がってくるオピオイド鎮痛剤問題の背景は、地域医療ジャーナル 2016年02月号の記事「NYT記事『薬、強欲、そして少年の死』~よみがえる2008年」で簡単に紹介した、子どもへの向精神薬の過剰処方の問題の構図と、とても似通っています。
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