薬剤師のジャーナルクラブ(Japanese Journal Club for Clinical Pharmacists:JJCLIP)は、ソーシャルネットワークサービスを活用しながら、インターネット上で臨床医学論文抄読会を開催する取り組みである。(※1)現在、桑原秀徳、山本雅洋、そして筆者(青島周一)の3名をコアメンバーとして運営している。
2013年の取り組み立ち上げ以来、定期的な論文抄読会配信のほか、2014年には第1回リアルワークショップ、2015年にはシンポジウムを開催し、薬剤師の臨床教育ツールの一翼を担えるよう、より実用的なコンテンツを模索してきた。
EBM(Evidence-based Medicine)という言葉は、薬剤師においても浸透してきているように感じるが、言葉を知っているというのと、実践しているというのでは、かなりの隔たりがある。特にEBMは「エビデンスに基づく医療」と言うように、臨床医学論文の結果のみに軸足を置いた行動スタイルと捉えられていることも多く、誤解を招きやすい言葉と感じている。
臨床医学論文をどう読み、それを日常業務にどう生かすか、薬剤師のジャーナルクラブ定期配信では、そのような問いに対して、誰でも、気軽に参加できる学びの場を提供してきたつもりだ。しかし、実際に論文を読むことで、何がどう変わるのか、実際の業務にどのような変化がもたらされるのか。そういったことを知る機会は皆無であったと言えるのではないだろうか。
今回のリアルワークショップの開催目的は以下の2点である。
①オンライン論文抄読会を視聴した薬剤師が、何を感じ、日常業務がどのように変化したか、その実例をシェアする。
②仮想症例と論文情報に基づきロールプレイを行い、エビデンス情報を踏まえるということが、どのような行動変容をもたらすのかを実際に体験してもらう機会を提供する。
開催プログラム概要は本誌5月号「告知」に掲載されている。本稿では、このリアルワークショップの概要を報告するとともに、その内容について、筆者なりの考察を加えてみよう。
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