職業人として医療に携わるようになって13年目に入ります。まだまだ若輩者の部類だと思いますが、それでも本当にたくさんの患者さんと出会ってきました。今回のテーマの「医療は人を癒せるのか?」を考えたとき、自分が携わってきた医療が患者さんを「癒した」ことがあっただろうか?と自問自答しました。そして、結局本当の意味で「癒す」ことができた患者さんはほとんどいなかったのではないか・・・そんなことを考えています。
1.癒しとは?
そもそも「癒し」って何でしょう?この定義が非常に軽い場合と重い場合があるのではないかと思うのです。「癒し」は英語では「ヒーリング」になるのかもしれません。この「癒し」という言葉は1980年代後半から2000年にかけて"流行”しました。確かに「癒し系グッズ」とか「ヒーリングミュージック」など、多くの"軽い”癒しが溢れており、商品として売り出される結果となりました。「癒し」は1999年の「流行語大賞」のトップテンにも入っていて、坂本龍一の「Energy flow」がミリオンセラーになっています。
現在でもGoogleの画像検索で「癒し」と入力すると、子猫やウサギなど小動物の可愛い写真がところ狭しと並びます。また、癒し系アイドルとか癒し系男子などと日常的な語句としてもよく使われるようになっています。ただ、少なくとも「癒し」で検索しても医療者の写真は出てこないですね。
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