地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2016年01月号 vol.2(1)

トランスヒューマニズムと米NBICレポート(2002)から100年後の医療を展望してみる

2015年12月18日 18:51 by spitzibara
2015年12月18日 18:51 by spitzibara

 読者の皆さんは「トランスヒューマニズム」という思想(?)をご存知でしょうか。

 私は2007年の"アシュリー療法”論争(「地域医療ジャーナル」8月号を参照)の際に、擁護の立場でメディアに登場する方々の中に独特の"香り”を漂わせておられる一陣があることが気になり、検索して、どうやら「トランスヒューマニスト」を自称する方々らしいと知りました。そしてさらに調べるうち、世界トランスヒューマニスト協会や「トランスヒューマニスト宣言」の存在も知りました。

 トランスヒューマニストとは、簡単に言えば、科学とテクノロジーによって人類の能力を飛躍的に強化することができて、不老不死の超人類となることができると信じる?夢見る?人たちのこと。例えば、2007年に翻訳出版されたレイ・カーツワイルの『ポスト・ヒューマン誕生:コンピュータが人類の知性を超えるとき』(NHK出版 原題は"The Singularity is Near: When Humans Transcend Biology”)は、21世紀後半には指数関数的な速度で発達する遺伝学、ナノテクノロジー、ロボット工学が特異点(シンギュラリティ)に達し、爆発的なパラダイム・シフトが起きて、超人類、ポスト・ヒューマンの時代が来ると予言する書です。

 その中には、世界トランスヒューマニズム協会の創設者、ニック・ボストロムからの以下の引用もあります。

 超知能に解決できない、あるいは解決の一助となれない問題などあるだろうか。疾病、貧困、環境破壊、ありとあらゆる不要の苦しみ──進化したナノテクノロジーを装備した超知能はそういった問題を解決するだろう。さらに超知能は、ナノ医療によって老化を止めたり若返らせたりするか、もしくは自分をアップロードしていくという可能性を提供することによって、人間に無限の生命を与えることができる。また、我々は超知能の助けによってみずからの知性と感情の可能性を大きく広げられるかもしれないし、とても魅力的な経験世界を創造できるかもしれない。その世界では、楽しい遊びをしたり、お互いに理解しあったり、経験を深めたり、個人的に成長したりして、理想的な人生に専念できるのだ。

 ニック・ボストロム「高性能の人工知能に関する倫理的な問題 」(2003), カーツワイル P.329
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