[事例]
受動喫煙が乳幼児の虫歯を増やすというのは本当でしょうか?
[受動喫煙と乳幼児の虫歯リスク]
煙草の先端から出る副流煙や、喫煙者が吐き出した煙を吸引してしまう事を受動喫煙といいます。同居家族の喫煙がもたらす子供の受動喫煙と、虫歯発症の関連を検討した研究がBMJ誌に掲載されました。
Tanaka S.et.al. Secondhand smoke and incidence of dental caries in deciduous teeth among children in Japan: population based retrospective cohort study.
BMJ. 2015 Oct 21;351:h5397. PMID: 26489750
全文がインターネット上にて、無料で読めますので、英語が得意な方は是非読んでみてください。英語が苦手な方に、この研究の概要をご紹介いたしましよう。
[同居家族による子供の受動喫煙で虫歯が増える??]
この研究は、2004〜2010年において神戸市で出生した76920人の乳幼児を対象とした後ろ向きコホート研究です。コホートとはある期間にわたり追跡される、特定の目的のために選ばれた人々、などと定義されますが、簡単に言えば曝露と疾患(病気)の関連を検討するための調査対象集団です。
曝露とは聞きなれない言葉ですが、「特定の状態」と言うようなイメージです。別に何かを体に浴びるというようなことではありません。疾患が発生する以前の状態のことを曝露と呼ぶのです。例えば、喫煙も曝露になりますが、毎朝30分の散歩等の生活習慣も曝露となります。年齢や性別なども曝露と言えましょう。曝露の中でも特に疾患の発生に高い確率で影響を与えるものを危険因子と呼びます。例えば喫煙は肺がんの危険因子です。
この研究では受動喫煙という曝露と、乳幼児の虫歯という疾患の関連を検討するために、神戸市で出生した76920人がコホートとして選ばれているわけです。このコホートを3つのグループに分けて、研究対象乳児が3歳になるまで追跡調査を行っています。
3つのグループは、生後4か月時点において、受動喫煙のなかった34395人、同居家族に喫煙者がいるものの、子供の前では喫煙しない37257人、同居家族による受動喫煙が明らかだった5268人となっています。追跡調査の結果はどうだったのでしょうか。。
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