地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2017年10月号 vol.3(10)

編集後記

2017年09月28日 22:09 by bycomet

 今月号もお読みいただき、ありがとうございます。企画特集はいかがでしたでしょうか。

 なつかしい薬が登場し、倫理や幸せそして治療の個別性など、記者のみなさまが多彩な軸で論考をされております。ぜひ、ごゆっくりとお楽しみください。

 ご意見・ご感想をお寄せください。読者限定ですが、読者コミュニティへ書き込み可能となっております。どうぞよろしくお願いします。

 

科学的な冷たさ

 もしも「科学的に厳格な医療」というものがあるとすれば、それはどちらかといえば冷たい医療に分類されるでしょう。

「これが正しいのだから従いなさい」
「検査や治療があるのだからやりなさい」

 専門家の権威を背景とした父権的な命令がまかり通る医療、そんな医療は快適ではありません。

 このような医療を、ここで仮に「冷たい医療」と呼ぶことにします。

 

エビデンスや語りで医療はあたたかくなったのか

 EBM(科学的根拠に基づく医療)はむしろ、こうした「冷たい医療」を見直す動きがきっかけとなって生まれたものです。権威の意見や経験則だけではなく、医学論文に基づくことで専門家が謙虚になれるという側面が、EBM実践家の声からも明らかになってきています。

 ところが、EBMを実践していると、しばしばエビデンスに「裏切られる」こともあります。

 効果があるとされていた治療が、実は効果がなかったことが明らかになる、といった「冷酷なエビデンス」の事例は今月号の主題でしたが、枚挙に暇がありません。エビデンスを参考にあたたかな医療を提供しようとしても、それが裏目に出ることもあるわけです。

 患者の語りに耳を傾けようとする、Narrative-based medicine (NBM)もその動きのひとつといえるでしょう。

 しかし、こうした「冷たい医療」から脱却する試みは、今のところあまり成功しているとは思えません。まだまだ医療者にやるべきことがありそうです。

 

あたたかい医療とは?

 ところで、「冷たい医療」の対極にある「あたたかい医療」とはどんな医療のことでしょうか。一体どのような医療なのか、今のところぼくはぼんやりしたイメージしかありません。

 医療者はそれを示すことができていないように思えます。きわめて主観的なもので、定義することさえ難しいのかもしれませんが。

 それでも、おそらく医療の利用者のほうは、それを明確に区別できるのではないでしょうか。どんな医療が冷たくて、どんな医療があたたかいのか。そして、利用者はあたたかな癒し手と医療を求めているはずです。

 ぼんやりしたイメージを明確にすることができるのか。「冷酷なエビデンス」と「あたたかな癒し手」は両立できるのか。これからも考えていきたいと思います。

 

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 よろしくお願い申し上げます。

 

 それでは、また来月お会いしましょう。

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