今月号もお読みいただき、ありがとうございます。企画特集はいかがでしたでしょうか。
なつかしい薬が登場し、倫理や幸せそして治療の個別性など、記者のみなさまが多彩な軸で論考をされております。ぜひ、ごゆっくりとお楽しみください。
ご意見・ご感想をお寄せください。読者限定ですが、読者コミュニティへ書き込み可能となっております。どうぞよろしくお願いします。
科学的な冷たさ
もしも「科学的に厳格な医療」というものがあるとすれば、それはどちらかといえば冷たい医療に分類されるでしょう。
「これが正しいのだから従いなさい」
「検査や治療があるのだからやりなさい」
専門家の権威を背景とした父権的な命令がまかり通る医療、そんな医療は快適ではありません。
このような医療を、ここで仮に「冷たい医療」と呼ぶことにします。
エビデンスや語りで医療はあたたかくなったのか
EBM(科学的根拠に基づく医療)はむしろ、こうした「冷たい医療」を見直す動きがきっかけとなって生まれたものです。権威の意見や経験則だけではなく、医学論文に基づくことで専門家が謙虚になれるという側面が、EBM実践家の声からも明らかになってきています。
ところが、EBMを実践していると、しばしばエビデンスに「裏切られる」こともあります。
効果があるとされていた治療が、実は効果がなかったことが明らかになる、といった「冷酷なエビデンス」の事例は今月号の主題でしたが、枚挙に暇がありません。エビデンスを参考にあたたかな医療を提供しようとしても、それが裏目に出ることもあるわけです。
患者の語りに耳を傾けようとする、Narrative-based medicine (NBM)もその動きのひとつといえるでしょう。
しかし、こうした「冷たい医療」から脱却する試みは、今のところあまり成功しているとは思えません。まだまだ医療者にやるべきことがありそうです。
あたたかい医療とは?
ところで、「冷たい医療」の対極にある「あたたかい医療」とはどんな医療のことでしょうか。一体どのような医療なのか、今のところぼくはぼんやりしたイメージしかありません。
医療者はそれを示すことができていないように思えます。きわめて主観的なもので、定義することさえ難しいのかもしれませんが。
それでも、おそらく医療の利用者のほうは、それを明確に区別できるのではないでしょうか。どんな医療が冷たくて、どんな医療があたたかいのか。そして、利用者はあたたかな癒し手と医療を求めているはずです。
ぼんやりしたイメージを明確にすることができるのか。「冷酷なエビデンス」と「あたたかな癒し手」は両立できるのか。これからも考えていきたいと思います。
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