最近、さまざまな悩みを抱えている音楽療法士たちとお話しする機会がありました。 話を聞くと、彼らの状況にはいくつかの共通点があることに気づきました。
彼らは専門学校に通い、その後日本音楽療法学会認定音楽療法士になりました。 中には、資格が取れると思って入学したけれど、実は学校は「認定校」ではなかった、という人も何人かいました。
現在彼らは、老人ホームやデイサービスなどの現場で高齢者を対象に〈音楽療法〉を提供しています。セッションは40〜60人の大きなグループで行われ、参加者の中には認知症の人も多いです。
彼らが私に話してくれた悩みは、以下のように要約できます。
1. 大きなグループでのセッションでは、クライエント(対象者)のニーズを知るのがとても難しい。小さなグループか個人セッションを行いたいと思うが、どうすればいいかわからない。専門学校ではあくまでも大きなグループでの〈音楽療法〉しか教わらなかった。
2. さらに、専門学校では終末期ケアについて学ぶ機会がなかった。でも介護現場では、終末期の患者さんに遭遇することが多い。 クライエントが衰弱し、死を迎えるとき、本人やご家族をどうサポートしたらいいのか?
3. 楽器は主にピアノを使っている。グループセッションでは便利だが、個人セッションをする場合キーボードを持ち運ぶのは重い。 ギターのような持ち運びが簡単な楽器を今からでも学んだ方がいいだろうか?
彼らの話を聞きながら浮かび上がってくるのは、音楽療法士の教育を取り巻く問題です。
近年、音楽療法士を養成する教育機関が次々に誕生しているようですが、それらの学校でしっかりと音楽療法の理論やセラピーの過程を教えていないのではないかと懸念します。 音楽療法の「やり方」といった手先のテクニックを教えるだけでは不十分ですし、学生にとってもフェアではありません。
さらに、彼らが音楽療法士として将来関わりを持つことになる、クライエントに対しても無責任です。 これはおそらく、今日の日本の音楽療法が直面している最大の問題でしょう。でもこの記事の目的は、その詳細を議論することではありません。
それよりむしろ、今現場でクライエントに向き合っている音楽療法士に焦点を当てたいと思います。 彼らは今、情報と助言を求めているからです。 この記事では、音楽療法士として成長するために必要なスキルをどのように得ることができるかについて、私が彼らに話したことをまとめます。
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