地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年05月号 vol.4(5)

薬の飲み合わせ第5回「インフルエンザで来局した9歳男児」

2018年04月28日 14:59 by ph_minimal
2018年04月28日 14:59 by ph_minimal
 今回はお子様の処方をテーマに取り上げました。繁忙期に経験した実例を基に、一部加工してお届けしたいと思います。今までは、記事のタイトルがそのまま"答え"(つまりネタバレ)になってしまっていたので、タイトルは"どのような患者さんか"にとどめてあります。
 情報量がちょっと多いかもしれませんが、どうかご容赦ください。実際、忙しい状況で、このような患者さんを迅速にチェックして調剤をしないと業務は回らないということを念頭に一緒に考えてみていただけると楽しめるかと思います。薬局の待合室は満員で、早く帰りたいというお子様の泣き声が調剤室に聞こえてくるという状況を想像していただけると、さらに臨場感が増すのではないかと思います!
 
 
<仮想症例>
9歳 男児E君
(初めて来局した患者さんです)
 
E君のお母様より
「前日の夜に39℃の発熱。学校でインフルエンザが流行しており、うつってしまったかな?と受診したら、検査にてインフルエンザA型と診断された。高熱が続き、咽頭痛、咳、鼻水、鼻づまり、倦怠感あり。食欲がなく、あまり食べられない」
 
処方内容〔◯◯小児科〕
Rp1:ザナミビル吸入剤(リレンザ®) 20BL 1日2回、1回2BL吸入
Rp2:カルボシステイン錠250mg(ムコダイン®) 1日3錠 毎食後 4日分
Rp3:フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg(アレグラ®) 1日2錠 朝夕食後 4日分
Rp4:トラネキサム酸錠250mg(トランサミン®) 1日2錠 朝夕食後 4日分
Rp5:デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg(メジコン®) 1日2錠 朝夕食後
Rp6:アセトアミノフェン錠300mg(カロナール®) 1錠  発熱時頓用(38.5℃以上) 5回分
 
〔問診表より〕
体重28kg
症状:高熱で受診。インフルエンザA型
既往歴:アトピー性皮膚炎
副作用歴:なし
他科受診:▲▲皮膚科
 
併用薬〔お薬手帳より〕
◯◯小児科(他薬局にて調剤)
デスモプレシン酢酸塩口腔内崩壊錠120μg(ミニリンメルト®)
小建中湯エキス顆粒
▲▲皮膚科より(他薬局にて調剤)
ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏0.05%(アンテベート軟膏®)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%(リンデロンV軟膏®)
ヒドロコルチゾン酪酸エステル軟膏0.1%(ロコイド軟膏®)
白色ワセリン
レボセチリジン塩酸塩錠10mg(ザイザル®)
ヘパリン類似物質軟膏0.3%(ヒルドイドソフト®)
ヘパリン類似物質外用液0.3%(ヒルドイドローション®)
 
 
<参考>
ザナミビル水和物吸入剤:抗インフルエンザ薬
カルボシステイン:気道粘液調整・粘膜正常化剤(痰や鼻水を出しやすくする)
フェキソフェナジン:第二世代抗ヒスタミン薬(鼻水止め)
トラネキサム酸:止血剤・抗炎症剤(のどの炎症止め)
デキストロメトルファン:鎮咳薬(咳止め)
アセトアミノフェン:解熱鎮痛薬(熱さまし)
デスモプレシン:抗利尿ホルモン剤(夜尿症の薬)
小建中湯:小児虚弱体質、疲労倦怠、腹痛、小児夜尿症、夜泣きなどに適応のある漢方薬(夜尿症の薬)
レボセチリジン:第二世代抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
(カッコ内にどのような目的で処方されていたかを記載してます。)
 
 
 激動のインフルエンザシーズン、閉局時間を過ぎても駐車場には診察待ちの患者さんの車がいっぱい…。そんな状況で来局した初来局のお子様ですが、どうやら流行に飲み込まれ、インフルエンザにかかってしまったようです。
 当薬局としては新患のお子様ですが、○○小児科には定期的に受診しているようです。▲▲皮膚科のお薬をもらっている他薬局がかかりつけとなっており、○○小児科の薬も普段はそちらの薬局でもらっているようですね。インフルエンザでグッタリ…という状況ですので、かかりつけの薬局ではなく、○○小児科のすぐ近くにあるこちらの薬局で薬をもらって急いで帰りたいといったところでしょうか。
 幸い、お薬手帳を持参しており、定期服用薬は確認できますね。お薬手帳にずらりと並ぶ薬名の羅列…。正直なところメモをとる時間も惜しい!という混雑状況なのですが、うっかり重複していてはまずいですからね。せっかくお薬手帳を活用して頂いているのですから、きちんとチェックしましょう。
 
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