「死ぬ権利」をめぐる議論――具体的には積極的安楽死と医師幇助自殺(PAS:physician-assisted suicide)の周辺で――世界ではいったい何が起こっているのか、について、これまで以下の記事で簡単に紹介してきました。
2016年11月号「オランダの安楽死 その最前線 」
2018年1月号「Medical Assistance in Dyingという「すべり坂」:世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流」
最近、なにかと動きが急になってきていますが、日本では詳細な実態が知られないまま、イメージや空気先行の議論になりがちなところがあるように思います。もちろん世界で急加速していく事態やそれぞれの国のこれまでの経緯や背景のすべてを何本かの記事で詳細に描き出すことは不可能ですが、せめて「ある程度の事実はきちんと知ったうえで考えましょう(これこそがEBMの姿勢というものですね)」と警鐘を鳴らす意味で、折に触れて近況を取りまとめてみようと思います。不定期になりますが、「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流」というタイトルで、シリーズ化できればと考えています。よろしくお願いいたします。
今回の報告は主として4点です。
① 米国ハワイ州、医師幇助自殺を合法化
上記の今年1月の記事では、最新ニュースとして昨年秋にオーストラリアのヴィクトリア州で医師幇助自殺(障害のための自力で毒物を飲めない人には安楽死)の合法化が決まったことをお知らせしましたが、その後、4月5日に米国ハワイ州でも医師幇助自殺を合法とする法律が成立しました。
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