地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年08月号 vol.4(8)

低血圧患者に対する下肢挙上の是非

2018年07月11日 15:16 by kangosyoku_no_ebm
2018年07月11日 15:16 by kangosyoku_no_ebm
 「◯◯さんの血圧が低いんです」
 
 「そうだね…。とりあえず下肢挙上しておこうか」
 
 こうしたことが看護の現場では日常的に行われていますし、とても教科書的な対応でもあります。
 
 「下肢を挙上すれば静脈還流量が増えるため、その分心拍出量が増える。そうすれば血圧が上がるはずだ」
 
 この足を高くするという行為にはそんなロジックがあります。
 
 下肢挙上は、頭は下げずに単に足を上げるというものですが、その他に、低血圧の時などに用いられる体位にトレンデレンブルグ体位というものもあります。
 
 日本救急医学会はトレンデレンブルグ体位について「仰臥位・頭部低位・腰部高位の体位のことで,骨盤高位ともいう。」と説明しています[1]。
 
 
 この体位はドイツ人外科医のFriedrich Trendelenburg医師が広めたもので、一回拍出量、心拍出量(CO)、心係数(CI)を増加させると考えられていましたが、エビデンスが蓄積される中で徐々に有効性を疑問視する声も出てきています。
 
 前述のように下肢挙上から心拍出量増加までのロジックは、シンプルでわかりやすいですが、一方でその妥当性の吟味があまり行われていないままに行われている現状があるように思われます。
 
 トレンデレンブルグ体位及び下肢挙上は、低血圧患者において、本当に有効なのでしょうか?
 
 
【目次】
・看護師のトレンデレンブルグ体位に対する認識
・トレンデレンブルグ体位の有効性
・トレンデレンブルグ体位の有害性
・トレンデレンブルグ体位、下肢挙上は実践すべきなのか
 
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