地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年09月号 vol.4(9)

尿道カテーテル留置患者における尿路感染症を看護介入でどう防ぐか

2018年08月19日 13:02 by kangosyoku_no_ebm
2018年08月19日 13:02 by kangosyoku_no_ebm
 尿道カテーテル、膀胱留置カテーテル、バルンカテーテルなどなど…色々な呼び方をしますが単に「バルン」と呼ぶことが多いように思います。
 
 手術を受けたことがある方はもしかしたら実際に使用された経験があるかもしれませんが、これは尿道から挿れて膀胱に留置するカテーテルのことを指します。
 
 
 急性期病院、療養病床などに関わらず、医療の現場ではよく使われています。
 
 前述のように手術で正確に水分出納をモニタリングする必要があるケース等で用いられることが多いように感じます。
 
 まぁなんといってもやはり評価しやすくなるので助かりますよね。
 
 しかしそれが故に安易に使用されたり、漫然と使用され続けていることもあります。
 
 そして、尿道カテーテルによる生じる大きな問題として「尿路感染症」があります。
 
 アメリカでの研究では尿路感染症は、感染症のうちの30%を超えていると報告されています[1]。
 
 また、ある研究[2]によると、
 
・カテーテルが2〜10日間留置されている患者のうち、26%は細菌尿に進展すると予想される
・細菌尿患者のうち24%で尿路感染症が発症し、尿路感染症に起因する菌血症は3.6%で発症すると予想される
・そして、尿路感染症では676ドルの費用がかかると予想され、カテーテル関連菌血症は、少なくとも2836ドルの費用がかかる可能性が高い
 
 と報告されていることからも患者の予後の観点においても、医療経済の観点においても重大な問題であることがよく分かります。
 
 
 では、どのようにすれば尿路感染症は予防出来るでしょうか。
 
 ある病院では尿路感染症予防を目的に尿道カテーテル留置患者には毎日石鹸を用いて陰部洗浄をしているようです。
 
 また別の病院では尿道カテーテルを定期的に交換しています。
 
 しかし、これらはどの程度効果的なのでしょうか。
 
 これらの看護介入はアウトカムに寄与するのでしょうか。
 
【目次】
・尿道カテーテルのイントロ
・抗菌剤を用いた尿道口ケアは尿路感染症を減らすのか
・定期的な交換は尿路感染症を減らすか
・結局「抜けるなら早く抜くべき」ということなのか
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