地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2018年09月号 vol.4(9)

英国高等法院「家族と医師が『最善の利益』と合意すれば、植物状態と最小意識状態の人から栄養と水分の引き上げは可」

2018年08月26日 16:08 by spitzibara

 7月30日、英国の高等法院が衝撃的な判断を示しました。

 植物状態と最小意識状態の人への臨床的補助による栄養と水分(CANH:Clinically Assisted Nutrition and Hydration)について、患者本人をよく知っている家族や介護者と臨床チームとが、中止することが患者の最善の利益だと合意するなら、裁判所の判断を仰ぐことなく中止してもよい、というのです。それによって、裁判所の判断が出るまでの間、不適切な治療が続けられることも避けられ、家族と患者は訴訟の費用負担を負うこともなく、最後の日々とともに過ごすことができる、と1)。

 心臓まひを起こして意識不明となった52歳の元銀行マン、「Y氏」をめぐる裁判で示された判断です。主治医の考える予後は、Y氏が意識を取り戻すことがあったとしても、身体的にも認知のうえでも重度の障害が残ることは避けられない、というものでした。妻と2人の子どもも、本人は今の状態で生かされることを望まない、という考えでした。両者とも、栄養と水分の補給の中止が本人の最善の利益にかなうと合意し、中止を求めて裁判所の判断が仰がれたのでした。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

生命を操作する技術の「すべり坂」で起こっていること

2019年01月号 vol.5(1)

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 2

2018年12月号 vol.4(12)

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流1

2018年06月号 vol.4(6)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2019年01月号 vol.5(1)

つながりが加速する現代。 オンラインサービスが発達し、社会的つながりが多様...

2018年12月号 vol.4(12)

広げようとしても、広がらないこと。 広げようとしていないのに、広がってしま...