7月30日、英国の高等法院が衝撃的な判断を示しました。
植物状態と最小意識状態の人への臨床的補助による栄養と水分(CANH:Clinically Assisted Nutrition and Hydration)について、患者本人をよく知っている家族や介護者と臨床チームとが、中止することが患者の最善の利益だと合意するなら、裁判所の判断を仰ぐことなく中止してもよい、というのです。それによって、裁判所の判断が出るまでの間、不適切な治療が続けられることも避けられ、家族と患者は訴訟の費用負担を負うこともなく、最後の日々とともに過ごすことができる、と1)。
心臓まひを起こして意識不明となった52歳の元銀行マン、「Y氏」をめぐる裁判で示された判断です。主治医の考える予後は、Y氏が意識を取り戻すことがあったとしても、身体的にも認知のうえでも重度の障害が残ることは避けられない、というものでした。妻と2人の子どもも、本人は今の状態で生かされることを望まない、という考えでした。両者とも、栄養と水分の補給の中止が本人の最善の利益にかなうと合意し、中止を求めて裁判所の判断が仰がれたのでした。
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