こんにちは。Independent Librarian(インディペンデント ライブラリアン) の chebsat33 です。
この連載では、主に “情報環境のあまり整っていない医療職がEBMを実践する際のヒントとなるようなリソースと活用のコツ” を紹介していく予定です。名付けて『ライブラリアンによるないないづくしのEBM』、略して『LiNE』としてみました。細く縒られた切れやすい糸のように拙い私の文章が、読んでくださる方たちのもとでそれぞれに綴られていき、いつか一枚の布のように何かの時にお役に立つものになったとしたらうれしいです。どうぞ、お付き合いくださいね。
さて。
第2回と第3回は、土台作りです。今回は「思考の土台」を作るという目的で、あらためて「EBM」の位置づけや関連文献を入手する際のヒントやリソースをご紹介します…あ、はい?
Q. あの、そこからはじめるんですか?
A. はい、EBMです。そこからはじめます。
Q. それはもう理解できていますけれども?
A. そうですよね。ご存じですよね。でも。
よければ、もう一度、先人の歩みを振り返ることからはじめませんか。
あらためて考えることで、新たにひらく世界があるかもしれないと、私は考えます。
“Evidence-Based Medicine” を振り返る
EBMを理解するための基本文献のひとつといえば、こちらでしょうか。
この文献には、「An updated model for evidence-based clinical decisions.(根拠に基づく臨床判断のためのアップデートモデル)」という図が掲載されています。
Figure 2 An updated model for Evidence-Based Clinical Decisions. Haynes RB. et al. Evid Based Med 2002;7:36-38. ※和訳はchebsat33による
Haynesらは「臨床の状態や環境」「患者の価値観や行動」「研究の成果」の三つ巴に「臨床の熟達」が統合されることで、よりよい臨床判断を行うことができると述べています。図のタイトル中にアップデートとあるのは、同文献にFigure 1として以前のモデルが紹介されているからです。Figure 1がどのように変化してFigure 2になったのか、ぜひ本文を読んで確かめてみてください。
EBMを理解するための基本文献はこちらだけではありませんし、この文献も登場してからかなりの時間が経過しました。現在の自分の立ち位置から、あるいはいつもの自分とは異なる立場や複数の視点から、あらためてEBMを考えるために文献に目を通してみるというのはいかがでしょう。この文献も全体のタイトルは “Evidence-Based Medicine” と記していますが、その後に “patient choice” が続き、図のタイトルは “Evidence-Based Clinical Decisions” と、少しずつ視点を変えています。
また “Evidence-Based Nursing” “Evidence-Based Health Care” など、Evidence-Basedな実践を目指す立場や専門性も、さまざまです。
そこで、Evidence-Basedな実践や視点にはどのようなものがあるのか、また、それらがどのようにつながっているのかを調べてみました。
<今回の検索は、2019年5月11日に行いました>
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