テレビの医療・健康情報番組は、エンターテインメント番組と並んで、一定の視聴ニーズがあるように思います。しばしば著明な医師らが出演し、一般の人にもわかりやすい解説を交えながら、医療・健康に関する情報が発信されるわけですけれど、その内容の妥当性はどうなのでしょうか。
海外の医療情報番組を対象とした研究【1】によれば、放送された主張や推奨の約半数は科学的な根拠によって支持されていないことが報告されています。
英国医師会誌の2014年クリスマス特集号に掲載されたこの研究では、医師が出演している「The Dr Oz Show」と「The Doctors」という2つの医療情報番組で放送された推奨事項から、各番組80件の推奨事項を対象に、その内容の科学的な妥当性が評価されました。
解析の結果、全160件の推奨事項のうち、科学的根拠によって支持された事項は54% (95%信頼区間47~62)でした。番組別の解析では、「The Dr Oz Show」で46%、「The Doctors」では、63%が科学的根拠によって支持されていました【図1】。
【図1】海外の医療情報番組における推奨内容の妥当性(参考文献【1】より筆者作成)
日本の医療・健康情報番組における情報内容の妥当性を評価した研究を見つけることは出来ませんでしたが、必ずしも質の高い医療情報が放送されているわけではないように思います。NHK制作のテレビ番組「ためしてガッテン」では、“睡眠薬で糖尿病が治療できる”といった内容を放送したとして、番組放送後に公式に謝罪をしています【2】。
また、「認知症予防に効果が期待できる」というようなテーマは、テレビの情報番組でも良く取り上げられるかと思いますが、現時点で、認知症を予防する手段も、認知症を改善する治療も存在しません【3】【4】。
――そんな中、健康情報番組の視聴と、視聴者の予後を検討した研究論文が報告【5】されました。
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