こんにちは。Independent Librarian(インディペンデント ライブラリアン) の chebsat33 です。
この連載では、主に “情報環境のあまり整っていない医療職がEBMを実践する際のヒントとなるようなリソースと活用のコツ” を紹介していく予定です。名付けて『ライブラリアンによるないないづくしのEBM』、略して『LiNE』としてみました。細く縒られた切れやすい糸のように拙い私の文章が、読んでくださる方たちのもとでそれぞれに綴られていき、いつか一枚の布のように何かの時にお役に立つものになったとしたらうれしいです。どうぞ、お付き合いくださいね。
さて。
第5回は、第4回「だけじゃないシソーラス [基本編]」の続きです。今回は医学や医療の専門職であれば多くの方がご存知の Medical Subject Headings(MeSH)を中心に “だけじゃない” 話をしていきます。第4回も参照していただけると、腑に落ちやすいかもしれません。
医学や医療のシソーラスは MeSHだけじゃない
今回はMeSH!と言っておきながら、MeSH以外の話を先にします。医学や医療をはじめとするヘルスサイエンス領域のデータベースに用られるシソーラスは、MeSH以外にもあります。ここでは、看護と薬学に関する代表的なシソーラスをひとつずつ挙げます。
まずは、看護学関連に強いシソーラスです。
CINAHL Subject Headings (include CINAHL)
CINAHL(シナール、The Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature)は、看護学と医療関連領域を中心とした索引データベースです。索引には『CINAHL Subject Headings(CINAHL Headings)』が使われています。MeSHをベースに構築されており、看護学や保健医療に特化したことばが多く登録されている・NANDA Internationalの分類システムが組み込まれているなどの特徴があります。
CINAHLおよびCINAHL Headingsについては、提供元のEBSCOが使い方をまとめています。
契約機関が独自に作成したオリジナルの案内もありました。
日本語の案内もいくつか見つかりました。個人的なおすすめは国立保健医療科学院図書館(NIPH)のサイトにリンクされていたものです。
- CINAHL Heading(シソーラスと検索履歴を使った基本の検索方法):EBSCO Information Services Japan作成
こちらは具体的な検索テーマが設定されているというのがよいですし、なにより、シソーラス用語を探せなくてあきらめるところからはじまるというシナリオにぐっときました。ぐっときた理由は、今回のまとめでもありますので、当記事の最後に記します。
続いて、薬学関連に強いシソーラスです。
Emtree (include EMBASE)
Embase(エンベース)は、生物医学文献の索引データベースです。医薬品や医療機器の安全性/有効性に関する文献を多く含んでいます。索引には『Emtree』(エムツリー)が使われています。登録されている統制語は73,000語以上、うち約31,000語が医薬品関連です。Embaseには、PubMedに包含されている『MEDLINE(メドライン)』の文献情報が重複を除く形で統合されており、MEDLINE由来の文献情報もEmtreeで索引されています。
EmbaseおよびEmtreeについては、提供元のElsevierが概要や操作方法をまとめています。
Emtreeの活用に関する動画もありました。Embaseは契約先によって画面のデザインが異なりますが、収録内容やできることは同じです。
日本語の案内は、エルゼビアジャパンが作成していました。
- エルゼビア・ジャパンによるガイド(日本語):Emtreeを使った検索案内は12-13ページにあり
では、ここからようやく MeSH の話に入ります。
MeSHは上記で紹介したシソーラスとは異なり、すべてが無料で公開されています。
ぜひ、あなたの関心に近いテーマのMeSHも確認しながら、読み進めてみてください。
〈今回紹介したリソースは2019年8月18日にアクセス確認を行いました〉
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