地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2019年09月号 vol.5(9)

[報告] 温泉浴マイスター人材育成講座参加レポート

2019年09月17日 18:06 by hatabo
2019年09月17日 18:06 by hatabo

7月号で告知させて頂いた「温泉浴マイスター人材育成講座」について、講師の先生方と開催にご尽力いただいた仙北市保健課の了承を得て報告記事を書きます。本来、私自身が講師として参加する予定でしたが、都合によりその役目をはずしてもらいました。幸い、当日参加することが叶いましたので、地域医療ジャーナルの記事を作成する目的で講座を聴講しました。

秋田県仙北市というところは温泉資源が豊富で、観光や地元住民の健康増進に寄与しています【1】。私も疲れがたまった時は近場の温泉施設に足を伸ばしていますし、数年前には東京の友人と共に温泉施設に宿泊しました。観光目的で温泉を利用する場合、長時間にわたる移動疲れがある中、宿に到着したらまず温泉、それから普段よりも量の多い食事をアルコールと共に頂き、その後にもう1度入浴、さらに朝風呂に入ろうとする場合が多いと思いますが、これが身体に負担をきたして、温泉でリラックスというより疲れをためてしまうことがあります。

入浴が身体に何らかの負担をきたした場合、残念ながら入浴死に至る例もあります。「入浴死」の場合すべての例において解剖が行われているわけではありませんので、溺死が死因として扱われることがほとんどですが、その件数は全国で年間19000人と推測されており、交通事故死より圧倒的に多いです。以下、講座内容・スライドからの引用となりますが、秋田県警のデータによると、平成30年は秋田県で年間177人が入浴中に死亡しています。仙北市の場合は8人、うち6人が福祉施設を含む自宅、温泉宿泊施設で2人が亡くなられたそうです。こういったデータを正確に残している自治体は決して多くなく、取り組みに温度差があるのが現状のようです。

入浴は、食事・睡眠と共に、豊かな人生を送るために多くの時間を使うものです。そのためには入浴事故を減らしたいですよね。この点を目的として、本講座は仙北市の健康増進事業の一環として開催され、秋田大学の看護学科の実習生4名を含む20数名程度が参加しました。

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