こんにちは。Independent Librarian(インディペンデント ライブラリアン) の chebsat33 です。
この連載では、主に “情報環境のあまり整っていない医療職がEBMを実践する際のヒントとなるようなリソースと活用のコツ” を紹介していく予定です。名付けて『ライブラリアンによるないないづくしのEBM』、略して『LiNE』としてみました。細く縒られた切れやすい糸のように拙い私の文章が、読んでくださる方たちのもとでそれぞれに綴られていき、いつか一枚の布のように何かの時にお役に立つものになったとしたらうれしいです。どうぞ、お付き合いくださいね。
さて。
第7回からは、第6回の予告どおり、『Resources for Evidence-Based Practice: The 6S Pyramid(根拠に基づく臨床のためのリソース:6Sピラミッド)』をベースにしていきます。
根拠に基づく臨床のためのリソース:6Sピラミッド
6Sピラミッドに私の日本語訳とリソースの例を付したのが、こちらです(第6回と同じ図です)。
6Sピラミッドは、McMaster University(マクマスター大学)の Health Science Library(ヘルスサイエンス図書館)が EBPに必要な情報の収集について、「リソースの形式」を編集の度合いに沿ってピラミッドの形にまとめたものです。ちなみに、EBPやEBMに関するピラミッドと聞くと、研究デザインをベースにしたエビデンスのピラミッドを思い出す方がいらっしゃるかもしれませんが、そちらとは異なります(エビデンスピラミッドについては、本誌vol.5(10) の kangosyoku_no_ebmさんによる『根拠の性質と「有る無しの次元」からの脱却』など、多くのEBM関連記事で触れられています)。
次の図は、6Sピラミッドの特徴と活用の視点をまとめたものです。
できるだけ早く必要な情報を入手することが求められる際には、編集度の高いリソースを優先的に活用するのがよいとされています。とはいえ、編集度の高いリソースは、下位にある個々の研究があるからこそ作成できるものです。ですから、このピラミッドはあくまでも優先度を示すものであって、必要度や各リソースの質を決めるものではないということを、頭の片隅に置いていただければと思います。
6Sピラミッドについては、病院司書やヘルスサイエンス系の学部を有する大学の図書館など、臨床の場を情報サービスによって支える立場のライブラリアンたちも活用しています。
例として、過去に私が実際に受けた質問と回答を、6Sピラミッドにあてはめてみました。
〈今回紹介したリソースは2019年10月13日までにアクセス確認を行いました〉
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