地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年2月号 vol.6(2)

ねこでも読める医学論文 第18話「点鼻ステロイドの有効性の比較」

2020年01月30日 13:19 by ph_minimal

はじめに 

 日本気象協会によると、東京の花粉の飛散開始の予想は2月10日だそうです[1]。本号が掲載される頃にはスギ花粉たちが日本中に飛び出していく準備段階に入っていることでしょう。

 ということで今回は花粉シーズン目前ということで、花粉症にまつわるテーマとしました。どうやら今年は花粉飛散量が例年より少ないようですが、やはり患者さんたちにとってはつらい時期かと思います。取り上げる薬は点鼻ステロイドです。では早速、ねこ薬剤師たちにバトンタッチしましょう!

 

[1]日本気象協会 2020年 春の花粉飛散予測(第2報)
https://tenki.jp/pollen/expectation/

 

ねこでも読める医学論文 第18話「ステロイド点鼻薬の有効性の比較」

 

みに丸「へっくしょい!へっくしょい!」

はかせ「どうした?さては花粉症かい?」

みに丸「ぐぬぬ…。そんなバカな…ぼくが花粉なぞに負けるわけ…へっくし!」

はかせ「抗アレルギー薬でも飲みなよ。ねこ薬局の店頭にも置いてあるだろ」

みに丸「実は、すでに飲んでいるんですけどね…。へっ…へっ…へっ……。……。ああ~、くしゃみが出そうで出ないパターンだ。これはこれでイヤだ…あっ、へっくし!!ムム、油断したらくしゃみがッ」

はかせ「……。つらそうだね…。ステロイド点鼻薬も使えば?」

みに丸「ステロイド点鼻薬かぁ~。ねこ薬局ではモメタゾンフランカルボン酸エステル(ナゾネックス点鼻液)とフルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト点鼻液)(※)を処方される患者さんが多いですね」

 

※フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ点鼻液)とは別物。ややこしい…。

 

はかせ「うん。どちらも1日1回使用の薬だね。モメタゾンフランカルボン酸エステルはジェネリック医薬品もあるけど、フルチカゾンフランカルボン酸エステルは先発品だけだね。つまりお値段が高い」

みに丸「有効性に違いがあるのか知りたいなぁ~。ボス~、ちょっと調べてくださいよ」

はかせ「上司に向かって、調べてくれとはこれいかに」

みに丸「だって、ぼくはくしゃみが止まらな…へっくし、へっくしょい!!」

はかせ「うわっ、鼻水が垂れてるぞッ。わかったわかった。ちょっと調べてみるから待ってくれ」

 

文献[2]を基に作成

 

みに丸「おお!比較試験があるんですね」

はかせ「うん。いろいろ探してみたんだけど、大規模な試験は実施されていないようだ。眼の症状もある鼻結膜炎の患者さんを対象とした試験がみつかったよ[2]。もっと大規模な試験の方がいいんだろうけど、そのようなデータはないんだから仕方がない。この論文を読んでみよう」

 

ここからは論文抄読会の疑似体験ということで、テーマ論文を手元に置いて、ねこ薬剤師たちと一緒に論文を読んでいただければと思います。

 

対象論文はこちらからダウンロードできます。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3911800/pdf/arhe120.pdf

 

[2]

Aneeza WH, Husain S, Rahman RA, Van dort D, Abdullah A, Gendeh BS. Efficacy of mometasone furoate and fluticasone furoate on persistent allergic rhinoconjunctivitis. Allergy Rhinol (Providence). 2013;4(3):e120-6.PMID: 24498516

 

 ~研究の背景~

 

はかせ「まずは研究の背景についてみておこう。120ページのABSTRACT(アブストラクト、抄録)の1行目に研究の背景と目的が書いてある。鼻症状と眼症状のあるアレルギー性鼻結膜炎はステロイド点鼻薬だけで治療可能とされているそうだ。そこで、この研究では、モメタゾンフランカルボン酸エステル(ナゾネックス)と、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト)の点鼻薬の有効性について比較されている」

みに丸「そういえば、ステロイドの点鼻液で花粉症のときの眼の症状にも効くって話を聞いたことがありますね」

はかせ「小規模の試験みたいだけど、これらの薬剤の比較データはあまり出ていないみたいだから、小規模のデータでもありがたいよね。この研究の内容を見てみようじゃないか」

 

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