読者のみなさん、お久しぶりです。しばらくお休みをいただいておりました、spitzibaraです。その間に何をしていたかについては、また改めてご報告しますが、今回は昨年12月19日に広島市内で日本学術会議哲学委員会「いのちと心を考える分科会」が開催したサイエンスカフェ「『デザイナーベビー』を考える ~親はどこまで子どものことを決めてよいのか?~」の、ご報告を。
当日は、最初に日本学術会議連携会員で鳥取大学医学部准教授(死生学)の安藤泰至先生がコーディネーターとして趣旨説明をされた後、細胞をめぐる最先端科学研究に詳しい県立広島大学新大学設置準備センター准教授(社会学)の粥川準二先生が、「ゲノム編集とは? 『ゲノム編集ベビー』事件とは?」というタイトルでご講演。
遺伝学的医療技術がゲノム編集へと至る技術の変遷を解説し、2018年の南方科技大学の賀建奎副教授がゲノム編集ベビー誕生を発表した事件からの議論と、その問題点について報告がありました。とりわけ懸念される点として、医療技術が治療からエンハンスメントへ、技術的にもより生命操作的なものとなりつつあること。7か国18人の科学者らが「ネイチャー」誌でゲノム編集技術のモラトリアムを提言したものの、現実的に規制するすべが存在せず未熟なままの技術が使われてしまっていること。将来の世代が十分な説明を受けて同意(インフォームドコンセント)することは不可能であることなどの問題が指摘されました。
そんな専門的なプレゼンの後でド素人のspitzibaraが登場するのは、トーンダウンも甚だしいのですが、サイエンスカフェの眼目は科学専門職と一般市民との対話。重い障害のある子をもつ親の立場で生命倫理の問題を考えてきた科学の素人である市民の一人として、カフェの副題「親はどこまで子どものことを決めてよいのか?」を受ける形で、厚かましくお話しさせていただきました。スライドのタイトルは「重い障害のある人の親の立場で考える・子どもをデザインする親たち~Designing Parents, Shaping Parents」。以下、その内容を。
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