こんにちは。Independent Librarian(インディペンデント ライブラリアン) の chebsat33 です。
この連載では、主に “情報環境のあまり整っていない医療職がEBMを実践する際のヒントとなるようなリソースと活用のコツ” を紹介します。名付けて『ライブラリアンによるないないづくしのEBM』、略して『LiNE』としてみました。細く縒られた切れやすい糸のように拙い私の文章が、読んでくださる方たちのもとでそれぞれに綴られていき、いつか一枚の布のように何かの時にお役に立つものになったとしたらうれしいです。どうぞ、お付き合いくださいね。
さて。
第8回から、『Resources for Evidence-Based Practice: The 6S Pyramid(根拠に基づく臨床のためのリソース:6Sピラミッド)』の各階層に該当するリソースの例を紹介しています。ピラミッドの日本語訳や各階層の関係性については、「第7回: まとまりはどこから」を参照してください。
が。
今回は4月号=新しい年度の始まりということで6Sピラミッドから少し離れ、医療職としてのキャリアが始まって間もない人たちに向け、「図書館オリエンテーション」的なことをしようと思います。いつものLiNEよりもぐっと軽い分量にしましたので、どうぞ気楽に読み進めてください。
図書館オリエンテーションとは
まずは「図書館オリエンテーションって何?」という方のために、定義づけです。インターネット百科事典の『コトバンク』に含まれる『図書館情報学事典』の見出し語がありました。
図書館オリエンテーション(としょかんおりえんてーしょん)
主に潜在利用者の集団を対象に,特定の図書館におけるサービスの種類や概要,施設と設備の配置,開館日と時間,文献探索や貸出の方法,利用規則などの案内ならびに説明を行うサービス.図書館利用教育の一段階として,しばしば文献利用指導と対比的に用いられる.利用者が図書館に親しみ,図書館で利用できる基本的なサービスについて知ることを主な目的とする点でより一般的であり,高度な目的を持つ文献利用指導とは機能が異なるが,両者は相互補完的な関係にある.印刷,視聴覚資料の提供や図書館ツアーの実施といった方法が多く用いられる.[参照項目] 図書館ツアー ; 図書館利用教育 ; 文献利用指導
上記の解説は事典の引用ということもあり、ちょっと堅いですが、要は
- 図書館の使い方をざっくり知ってください
- くわしくは図書館までお気軽にどうぞ
ということを伝えるための催しだと考えてください。
教育機関では、新入生向けの全体ガイダンスに図書館の説明時間があったり、図書館主催の行事として新学期のはじめにツアーを行ったりすることが多いです。医療機関でも、新規入職者向けの職員研修のひとつして、図書室の利用案内をしているところがあります。でも、入学・入職したばかりの頃は覚えることがてんこもりだからか、それとも緊張しているからなのか、図書館に関する説明があったことすら覚えていないという方もちらほら・・・いや、それでよいのです。なぜなら、図書館オリエンテーションの内容は、各図書館の公式サイトにおおむね掲載されているので、使いたくなった時に参照すればよいからです。それを見越してか、いつでも図書館オリエンテーションを体験できるよう、館内の紹介やツアー動画を作成・公開している図書館もあります。
ちなみに、医療職に対する図書館オリエンテーションについての文献も、PubMedで検索できます。この記事では、"library orientation"[TIAB] OR ("Health Occupations/education"[MH] AND "Libraries, Medical"[MH] AND (guidance[TIAB] OR orientation[TIAB] OR tour[TIAB])) の検索式で挙がった27件の結果から、ふたつの文献を紹介します。
〈今回紹介したリソースは2020年3月15日までに検索もしくはアクセスの確認をしています〉
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