昨年11月号から今年の1月号まで、spitzibaraは記事をお休みさせていただきました。その3か月間に何をしていたかという話は、昨年4月号で報告させてもらった名古屋での日本ケアラー連盟主催のシンポジウム「障害者家族のノーマライゼーションを考える」にさかのぼります。障害者の親ケアラー、中でも母親ケアラーの高齢化の問題を取り上げたシンポでした。
そのシンポの後、私は高齢期の母親ケアラーにインタビューを始め、10月末までに広島県から関東圏までに在住の、重度重複障害または重度知的and/or発達障害のある子どもをもつ50代後半から80代の母親40人と、例外的に80歳の父親一人、それから専門職4人にインタビューをしました。私たち高齢期を迎えた母親たちが、「これまで」をどのような体験を重ねて生きてきたのか、「今」どのような生活を送っているのか、「これから」にどのような思いを抱いているのか、知りたいと思っていました。インタビューを続けながら、その内容に私自身の体験や考察を加えて、少しずつ次の本の原稿を書き進め、秋の終わりから年末までの3か月間は執筆の胸突き八丁。脂汗を流しながら唸り続ける毎日でした。
本人たちにはあまりに語りにくく、そのため誰からも目を向けてもらうことがなかった、私たち母親の固有の体験と思いを少しでも可視化できれば、と願いながら書いた本は、『私たちはふつうに老いることができない-高齢化する障害者家族』というタイトルで大月書店から5月半ばに発売されます。「これまでのこと」「今のこと」「これからのこと」の三部構成になっています。よろしければお手に取っていただけると幸いです。
実は、この原稿を書き上げた直後、英国のある報告書の存在を知りました。“Confronting a Looming Crisis—People with learning disabilities and/or autism and their carers getting older(迫りくる危機―知的障害and/or自閉症のある人々とケアラーの高齢化)”。 2019年10月、ちょうど私のインタビューが終わる頃に刊行されていました。気づくのが遅く、自分の原稿に反映させることはできませんでしたが、遅ればせながら読んでみました。
今月は、拙著の刊行予告を兼ねて、こちらの報告書の内容をご紹介。
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