地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年05月号 vol.6(5)

新型コロナウイルス感染症に対するマスクの効果と、感染を拡大させないために今できること

2020年04月10日 16:57 by syuichiao
2020年04月10日 16:57 by syuichiao

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、メディアから発信される情報もコロナウイルス一色に染まっています。その情報量は膨大であり、また目まぐるしく更新され続ける中で、心身ともに疲れを覚える方も多いのではないでしょうか。

 この記事を書いているのは2020年の4月上旬ですが、記事が公開される予定の4月末の状況は、より深刻さを増しているかもしれません。そんな予想が外れることを願うばかりですが、日本国内における1日当たりの感染数の増加は、欧米と比べると少ないことは以前から議論されていました。文化的違いやBCGワクチンの接種率の差異【1】など、その理由を巡り、インターネット上では様々な情報が飛び交っていますが、マスクの着用に対する認識の違いが影響しているのではないかという仮説もあります。

 今回は新型コロナウイルス感染症に対するマスクの効果について、最新の文献報告に基づき考察を加えながら、感染を拡大させないために、現段階で僕たちができることをまとめたいと思います。

【マスクの感染予防効果と国ごとの認識の差異】

 一般的に風邪予防といえば、手洗い、うがい、マスクをイメージされる方も多いと思います。しかしながら、マスクの感染予防効果については賛否あり、一定の見解は得られていません。感染症に対するマスクの予防効果を検討した質の高い研究報告は限定的ですが、日本の医療従事者を対象とした小規模のランダム化比較試験【2】が2009年に報告されています。

【参考文献】 
【1】COVID-19に対するBCGワクチンの効果(日経DIオンライン2020年4月10日)
【2】Am J Infect Control. 2009 Jun;37(5):417-419. PMID: 19216002

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