はじめに
コロナウイルス感染症の流行が収束せず、いろいろと疲れが蓄積する頃かと思いますが、そんなときこそ「睡眠」が重要だと思っています。嫌なことがあると、「とりあえず寝よう!」と、布団に包まってすべての活動を停止してしまう私としては睡眠を妨げられるのはちょっとつらいですね。
というわけで、今回は睡眠に関する論文を取り上げました。ついスマホに夢中になって夜更かししてしまう方はいませんか?そんな方にオススメの論文をねこ薬剤師たちが読み解きます。では、スタート!
ねこでも読める医学論文 第22話「寝る前のスマホ使用を制限すると寝つきが良くなる?」
みに丸「ふわぁ~~~ぃふひぃぃ~」
はかせ「おいおい、職場にやってきて、いきなり大あくびかい?まさか、悩み事で眠れないとか?悩みがあるならいつでも相談してくれよ」
みに丸「いや、昨日、遅くまでスマホのゲームに夢中になっちゃって…」
はかせ「あ、そう。心配して損したよ」
みに丸「おもしろいんですよ!課金してレベルアップだ!」
はかせ「きみが何にお金を使おうが知ったことではないけど、寝不足で業務に支障が出ないようにしてくれよ」
みに丸「うーん、いざ寝ようと思ってお布団にもぐりこむんですが、ついついスマホを見ちゃって目が冴えちゃうんですよね」
はかせ「スマホは横になったまま操作できるからね。そんなきみにオススメの論文があるぞ[1]。ゲームは一休みして、昼休みに論文を読んでみようじゃないか」
みに丸「ええぇ~…。ぼくはゲームの続きをしたいのに…」
はかせ「なにか言ったかね?」
みに丸「しょうがないなぁ。ボスに付き合ってあげるとするか」
[1]He JW, Tu ZH, Xiao L, Su T, Tang YX. Effect of restricting bedtime mobile phone use on sleep, arousal, mood, and working memory: A randomized pilot trial. PLoS One. 2020;15(2):e0228756. PMID:32040492
対象論文はこちらからダウンロードできます。
https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0228756&type=printable
ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。
~研究の背景~
はかせ「さあ、まずは研究の背景についてなんだが、論文の2ページのイントロダクションから、かいつまんでみよう。これは中国の研究だ。携帯電話(mobile phone)を就寝前や消灯後に使用する若い人たちが多いが(2ページ4行目)、寝る時間の遅延や睡眠不足、不規則な睡眠リズム、睡眠の質の低下、疲労感の増加を招いたりすることがある。また、メディアコンテンツやゲームの使用は、眼がさえてしまうことがあるそうだ(過覚醒:hyperarousal)」
みに丸「ムムッ。まるでぼくのことのようだ。ぼくのプライバシーが白日の下に!」
はかせ「いや、誰もきみの個人情報に興味はないよ。中国の若い人たちときみの携帯電話の利用状況が似ているのかもしれんが…」
みに丸「そうですね。ぼくはボスと違って若いから…。ヤングだから」
はかせ「ぐぬぬ。きみだっていずれヤングじゃなくなるんだから覚えておきたまえ。いつか若いころの自分の言葉が自分自身に突き刺さるのだ!……さて、続きなんだが、このような背景を踏まえて、大学生を対象に携帯電話の使用制限が睡眠の質にどんな影響を及ぼすか検証したそうだ。これが研究目的だね。さあ、詳細を見ていこう!」
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