はじめに
今回のテーマはこれです。
「レッドホットチリペッパー!!!!」
有名なロックバンドの名前を叫んでみましたが、別にフジロックフェスティバル中止の影響で錯乱しているわけではありません(そもそも私はレッチリについてはあまり詳しくない…)。
今回、取り上げる論文のタイトルが『Consumption of red-hot chili pepper increases symptoms in patients with acute anal fissures. A prospective, randomized, placebo-controlled, double blind, crossover trial』なのです。ロック談義をしようというわけではなく、赤トウガラシを摂取すると痔が悪化するかについて検証した論文で、違う意味でかなりロックな研究だと言えるかもしれません。倫理的にアリなのか…?とびっくりしましたが、倫理的にどうなのかはさておき、結果がどうだったのか気になるので、「ねこ読め」で取り上げたいと思います。
ねこでも読める医学論文 第24話「赤トウガラシは痔を悪化させる?」
みに丸「うひぃ~~。おしりが痛ぇええ~~~」
はかせ「あ~あ、だから言ったじゃないか。無理するなって…」
みに丸「大丈夫だと思ったんです!こんなことになるなんて…。うゎあああ~~」
~前日の夜…(時を戻そう!) とあるラーメン店にて~
はかせ「ここのラーメンはたまに食べたくなるんだよ。けっこう辛いんだけど、それが病みつきになるんだよね」
みに丸「へぇ~。じゃあぼくは『鬼辛』にしようかな」
はかせ「ゲッ。それ一番やばいやつだよ。『激辛』よりも辛いんだぞ。ふつうの『旨辛』にしときなよ」
みに丸「フフフ、ボスは守りに入ってるなぁ。せっかくなんだからラーメンのメニュー選びも攻めの姿勢でいかないと。ヘイ、マスター!『鬼辛』一杯!」
はかせ「どうなっても知らないぞ…」
~現在…(時は戻らず、みに丸悶絶中) ~
みに丸「あああ~~~、おしりが~~~~、ひぃぃいいい~~」
はかせ「あ~あ、ねこの忠告を聞かないからこんなことになるんだよ。ところで、痔の患者さんにトウガラシを投与した研究[1]があるんだけど、今のきみにぴったりの論文じゃないか?ちょっくら読んでみようじゃないか」
みに丸「ぐぬぬ、他人事だと思って…。ぼくはそれどころじゃないのに…」
はかせ「しょうがないな。じゃあ、きみは休んでていいよ。私が論文の内容を読み聞かせてあげよう」
みに丸「もう勝手にしてくださいッ。ううぅ~」
[1] Gupta PJ. Consumption of red-hot chili pepper increases symptoms in patients with acute anal fissures. A prospective, randomized, placebo-controlled, double blind, crossover trial.Arq Gastroenterol.2008;45(2):124-127. PMID18622465
対象論文はこちらからダウンロードできます。
https://www.scielo.br/pdf/ag/v45n2/a06v45n2.pdf
ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。
~研究の背景~
はかせ「まずは124ページの『INTRODUCTION(イントロダクション)』から研究の背景をチェックしよう。『トウガラシを多く含む食品は痔のような肛門疾患を悪化させると経験的に言われている。トウガラシは胃腸を刺激し、腸管運動を促進して排便回数を増やすそうだが、肛門疾患への影響に関するヒトを対象としたデータはないため、トウガラシの影響をプラセボと比較検証した』 意訳するとこんな感じかな。けっこうヘビーな介入だね。トウガラシによる痔の悪化を検証するわけだから…」
みに丸「なんて過酷な!聞いているだけで痛みが増してきた!」
はかせ「うむ、こっちまでおしりがむずむずしてきたぞ!さっそく概要を見ていこうじゃないか」
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