地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2021年03月号 vol.7(3)

「作って半分、届けて半分」:COVID-19ワクチン

2021年02月25日 21:57 by kangosyoku_no_ebm
 最初に、私は免疫学の専門家ではありませんし、保健師としての実務経験もないので公衆衛生の実践家、専門家でもありません。

 そしてもう既にCOVID-19やそのワクチンについて、感染症専門医の忽那先生[1]や救急医のTaka先生[2]〜[4]、病理専門医の峰先生[5]やプライマリケア医の守屋先生[6]などのご高名な先生方や厚労省[7]が記事や動画を公表しているので是非、皆さんもそういった質の高い情報源を参照していただきたいと思います。
 
 それでも今回、私がワクチンについての記事を書こうと思ったのは(あくまで正確な情報を発信できるという前提においては、ですが)色々な人が情報発信することや、(後述しますが)事実に基づいてそれぞれがそれぞれの周囲の人々に情報を伝えていくことが重要であると考えているからです。
 
 前述の先生方の発信では刺さらなかった人の中にはもしかしたら私の記事に刺さってくださる方もいるかもしれません。
 
 2月14日時点で、厚労省はファイザー製のCOVID-19ワクチンを承認しており、同月17日から一部の医療従事者対象の先行接種が開始予定となっているので、この記事が公開される頃には実際にワクチン接種が始まっていることと思います[8]。
 
 前述の先生方や各組織のワクチンの情報の普及に努めている方々の取り組みもあって、当初に比べるとかなり情報が広まってきているように感じます。
 
 しかし、それでもまだ「とはいえまだまだ分かっていることが少ないでしょう?」「医療従事者だから先に打たないといけないのは分かるけど実験台みたいで嫌だ…」という人も散見されます。
 
 
 COVID-19のワクチンに関して、様々な知見が確実に蓄積されてきているので、今回の記事ではその「既に明らかになっていること」がある程度分かること、そしてタイトルにもあるようにより多くの方々にワクチンを届ける為の一助になることを目標に記事を書いていきたいと思います。
 
 
【ワクチンの狙い】
 
 
 まず、ワクチンを打つことでどのような効果が期待できるのでしょうか?
 
 大きく以下の2つの効果が期待できるとされています。
 
①発症予防効果(詳細は後述)
②集団免疫効果(可能性)
 
 まずは集団免疫について簡単に説明します。
 
 図で表すと以下のような感じです。
 
 
 この図からも分かるように、ある集団にワクチンを接種している人が一定数いると免疫を持っている人が壁になって免疫を持っていない人にまで伝播しないように防ぐことが出来る可能性があります。
 
 ただCOVID-19は無症候性感染が6割程度を占めるという報告[9]があり、ワクチンでこの無症候性感染も減らせるのかどうかについてはまだハッキリしない部分もあるので現時点では断定が出来ません。
 とはいえこのような効果が期待できるという点でワクチンは大きな希望であると言えると思います。
 
 しかし、ワクチンには次のようなニュースがつきものです。
 
「ファイザーワクチン接種の米60代医療スタッフ、接種4日後に死亡」[10]
 
米国製薬会社ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)のワクチンを接種した米国の60代医療スタッフが接種から4日後に死亡する事件が発生した。
 
 こういった「ワクチン接種後、死亡」というようなニュースを見ると、「やっぱりワクチンは危ないんじゃないか…」と考えてしまう人もいるのでは、と思います。
 
 でも、ここで一つ非常に重要なことがあります。
 
 それは、「ワクチンを打とうが打つまいが人は病気になるし、時には亡くなることがある」ということです。
 
 どういうことでしょうか?
 
【参考文献】
 
[1]忽那賢志の記事一覧 - 個人 - Yahoo!ニュース(2020年2月2日にアクセス)
(2020年2月2日にアクセス) 
[4]こびナビ(2020年2月13日にアクセス)
[5]峰宗太郎の記事一覧 - 個人 - Yahoo!ニュース(2020年2月2日にアクセス)
[6]新型コロナウイルス感染症まとめサイト(2020年2月2日にアクセス)
[7]厚生労働省 - 新型コロナワクチンについて(2020年2月13日にアクセス)
[9]JAMA Netw Open  . 2021 Jan 4;4(1):e2035057.[PMID:33410879]
 
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