地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2021年04月号 vol.7(4)

ねこでも読める医学論文 第31話「慢性腰痛患者に対するオープンラベルプラセボの効果」

2021年02月07日 11:18 by ph_minimal

はじめに

 ひきつづきプラセボネタです。なんと「プラセボだと説明した上でプラセボを投与した試験」です!有効成分が入っていないと説明されているので、いわゆる「プラセボ効果」は発揮しないんじゃないかという気がするのですが、はたして効果はあるのでしょうか?

 

ねこでも読める医学論文 第31話「慢性腰痛患者に対するオープンラベルプラセボの効果」

 

はかせ「オーナーからメモを受け取ったんだが…」

みに丸「へぇ~。どんな?」

はかせ「これだ」

 

みに丸「ちょっとなに言ってるのかわからないですね」

はかせ「『いや、わかれよ!』って言いたいところなんだが、ミートゥーだ。読者の意見って…、どゆこと?」

みに丸「さっぱりわからん…。オーナーはちょっと頭がどうかしているのかな?」

はかせ「うーん…、まあ読者っていうのがなんなのかは謎だが、ニセ治療の論文(※)をきみと一緒に読んだのは覚えているよ」

※ねこでも読める医学論文 第29話「本物の治療と見せかけたニセ治療 vs ニセ治療と説明したニセ治療!」 

https://cmj.publishers.fm/article/23499/

 

みに丸「あ~、思い出しましたよ。『効果がある治療だと説明したニセ治療』と、『ニセ治療だと説明したニセ治療』を比較した衝撃波の治療のやつですね」

はかせ「そうそう。『効果があるよ』と説明したら有意に痛みが改善したっていうやつだ。で、オーナーから、ニセ治療だと説明したニセ治療もちょっとだけスコアが改善している件について議論してくれと」

みに丸「たしかにちょっとだけスコアが改善してますね。10点満点で6.7→6.3点ですか…。これはニセ治療の影響によるものなのかどうか…?」

はかせ「症状の変化を評価するときには、自然治癒も考慮する必要がある。この試験の参加者は少なくとも半年以上は痛みがつづいているので、自然治癒の影響は小さそうだね」

みに丸「なるほど。ほっとけば治る疾患の場合には、薬の効果やプラセボ効果だけでなく、自然治癒も考慮しなきゃいけないということですね」

はかせ「そうだね。ただ、この6.7→6.3点っていう変化は誤差範囲なのかなって気もするね」

みに丸「やっぱ誤差ですかねぇ~。痛みの評価なんて、ある程度はブレそうですしね」

はかせ「たぶん誤差範囲じゃないかと思うんだけど、他の理由があるとすれば、アレかな…?」

みに丸「アレとは?」

はかせ「プラセボだと説明したにも関わらず、効果があったという報告もあるらしいんだ」

みに丸「ちょっとなに言ってるのかわからないですね」

はかせ「おいっ。同じセリフを2回使うんじゃない。コピペだと思われるぞ!」

みに丸「コピペ?それこそ、“ちょっとなに言ってるのかわからないですね”」

はかせ「サンドイッチマンはもういい!話を戻してくれ」

みに丸「プラセボ効果って、『これは効果のある薬だ』という思い込みや期待によって生じるものなんじゃないんですか?プラセボ(有効成分が入っていない)って説明したら効果が出ないのでは?」

はかせ「いやはや、おっしゃるとおりなんだけど、その論文を読んでみようか[1]」

 

[1] Open-label placebo treatment in chronic low back pain: a randomized controlled trial. Pain. 2016 Dec;157(12):2766-2772. PMID: 27755279 

対象論文はこちらからダウンロードできます。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5113234/pdf/jop1-157-2766.pdf

ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。

 

~研究の背景~

はかせ「では、いつものように『イントロダクション』から研究の背景をチェックだ。2766ページの『1.Introduction』だね」

みに丸「長いから、かいつまんでくださいよ。『ざっくりわかりやすく』ですよ」

はかせ「わかったわかった。まず…、『腰痛はめっちゃつらい』」

みに丸「ざっくりと意訳しすぎな気がしますが、オッケーです」

はかせ「『腰痛の治療は、プラセボよりも優れていないか、ちょっとしか効果がなかったりする』」

みに丸「たしかに、痛み止めを飲んでいても腰痛がつらいっていう患者さんは多いですね」

はかせ「『プラセボもけっこう改善してしまうという側面もある。自然治癒だけでなく、プラセボ効果によるものっぽい』」

みに丸「ほうほう」

はかせ「『とはいえ、実臨床でニセ薬を薬だと偽って投与するのは倫理的にまずい」

みに丸「たしかに、患者さんを騙すわけにはいかない」

はかせ「『ところが、プラセボだと説明した上でプラセボを投与して効果を示したという報告もある』。おっと、この研究の前にも似たような報告はあったようだね」

みに丸「へぇ~。不思議だなぁ」

はかせ「プラセボだと説明した上でプラセボを投与することをオープンラベルプラセボって呼ぶみたいだね。本研究では、慢性腰痛患者を対象にオープンラベルプラセボの有効性を検証したってわけだ」

 

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