新型コロナウイルスに対するワクチンは、感染が拡大した当初より急ピッチで開発が進み、既にいくつかのワクチンが実用化されています。これまでの検証試験の結果を踏まえれば、その有効率は90%前後と、かなり高い水準にあると言えるでしょう【表1】。
【表1】主な新型コロナウイルスに対するワクチンとその有効率(感染リスクに対する相対危険減少)
しかし他方で、ワクチン接種後にアナフィラキシー(重度のアレルギー)反応が出たとの報道もなされており、その副反応に不安を覚える方も多いと思います。新型コロナウイルスワクチンの開発にあたっては、これまでに実用化されていなかった新しい技術が用いられており、その副反応についても十分な検討がなされていないことは事実です。
18歳以上の米国人3,541人を対象に、新型コロナウイルスワクチン接種に関する意向を調査した研究【1】によれば、ワクチンの接種が開始される前の2020年9月において、ワクチン接種をためらう人38.1%でした。しかし、ワクチン接種が開始された12月においては32.1% と、その割合が6%減少していました。他方、ワクチンを接種したいと回答した人の割合は、9月では39.4%でしたが、12月では49.1%と、9.7%増加していました。それでも5割以上の人が、ワクチン接種について何らかの不安があり、接種をためらっている、もしくは判断がつかないという結果です。
2021年2月17日、日本でもようやく新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。それに伴い、アナフィラキシーをはじめとする副反応を報道するメディアも目立つようになってきました。このような状況の中、新型コロナウイルスワクチンの接種について、日本人はどのような思いを抱いているのでしょうか。本稿では同ワクチンに対する日本人の接種意向を文献ベースで考察し、世界各国の状況とも比較をしながら、今現在において乗り越えるべき課題や障壁について論じます。
【参考文献】
【1】MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Feb 12;70(6):217-222. PMID: 33571174
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