英国の知的障害者のアドボケイト団体メンキャップによる、知的障害のある人たちに適切な医療を保障するための数々のキャンペーンについて、2000年代半ばから追いかけ、ささやかに書き物で紹介してきました。最近では、2月号の記事 英国の「障害のある私も、ちゃんと治療してください」キャンペーン がその一端です。
そうした情報に触れる際に時々でてくる「知的障害看護師(learning disability nurse)」は、ずっと気になっていました。知的障害に明るく、病院では知的障害児者の受診の際に個々のニーズに応じた配慮をしたり、知的障害について詳しくない様々な職種に対応のアドバイスをするなどしているようでした。地域にも配置されていて、地域で暮らす知的障害児者の健康状態や病院の受診状況に気を配り、入退院時の調整役を担う人たちのようです。
ただそれが、どの程度、公的な医療システムに位置づけられた職種なのかといった詳細までは分からなくて、そのうちに調べてみようと思いながら、ずるずると放置していたのですが、メンキャップのコロナ禍に関する報告書(3月号の記事 コロナ禍における「権利擁護・合理的配慮としての面会・付き添い」を考える で紹介)を読んだ際、いよいよ一度詳細を把握しておかねば、と考えました。メンキャップは知的障害者の健康へのコロナ禍の影響を把握するために、知的障害看護師にアンケート調査を行っているのです。なるほど、と思いました。自分では窮状を訴えることも調査に協力することも困難な知的障害のある人たちの実態を把握するために、病院と地域で働く知的障害看護師という視点を生かすことができるのだな、と改めてその存在があることの意味の大きさを感じると同時に、メンキャップが知的障害看護師を当事者の代弁者として評価し、認めているのだな、とも思ったのです。
そこで今回は、英国の知的障害看護師について、インターネットで調べてみました。
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