地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2021年09月号 vol.7(9)

ねこでも読める医学論文 第36話「がんサバイバーの倦怠感に対するオープンラベルプラセボの効果」

2021年07月31日 09:40 by ph_minimal

はじめに

 次号の地域医療ジャーナルの特集号が「ノセボとプラセボ」ということで、プラセボネタをピックアップしました。続々とプラセボ効果を検証した研究が報告されていますね。今回はがんサバイバーの倦怠感に対するプラセボ効果の検証です。

 

ねこでも読める医学論文 第36話「がんサバイバーの倦怠感に対するオープンラベルプラセボの効果」

 

はかせ「オーナーから指令が届いた」

みに丸「どんな?」

はかせ「『プラセボに関する論文をもっと読みなさい』だって。来月にプラセボ特集があるのでネタを集めておきたいと言っている」

みに丸「なんですか、その特集は?」

はかせ「さあ…。なにかの執筆かな?」

みに丸「執筆のネタをぼくらに調べさせようというんですか!?なんてオーナーだ!」

※ネタにするどころか、丸ごと公開されていることを彼らは知らないのである。

 

はかせ「オーナーの怠け癖は今に始まったことではないよ。我々のような雇われねこ薬剤師は言うなりになるしかないのだ」

みに丸「じゃあ、休憩時間じゃなくて、業務中にやりましょう。残業つけましょう!」

はかせ「おお!!!それはいい考えだ。感服した!きみは天才じゃないのか!?」

みに丸「はっはっは~。それほどでも」

はかせ「さっそく論文を探ってみたんだけど、プラセボ効果に関する論文がいろいろ出ていたので、その中から1本ピックアップしたよ。これまでにも何度か取り上げたオープンラベルプラセボについてだ」

みに丸「あ~、プラセボ(偽薬)だってことを知らせた上で投与するっていうぶっ飛んだ発想の試験ですね」

はかせ「そうそう。なんと、がん患者さんの倦怠感に効くかどうかを検証した試験が報告されているんだ。全文無料で読めるので、これを読んでみよう」

[1] Hoenemeyer TW, Kaptchuk TJ, Mehta TS, Fontaine KR. Open-Label Placebo Treatment for Cancer-Related Fatigue: A Randomized-Controlled Clinical Trial. Sci Rep. 2018 Feb 9;8(1):2784.  PMID: 29426869

 

対象論文はこちらからダウンロードできます。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5807541/pdf/41598_2018_Article_20993.pdf

ぜひとも論文と照らし合わせながら、ねこ薬剤師たちの論文抄読会にご参加ください。

 

~研究の背景~

はかせ「では、いつものように『イントロダクション』から研究の背景をチェックだ。1ページを見てくれ。項目名が書いてないけど、論文タイトル下の太字で書いてある部分が『アブストラクト』で、その下の10数行が『イントロダクション』だね。では、いくぞ。『約1400万人のがんサバイバーにがん関連の倦怠感(CRF:cancer-related fatigue)があると報告されている。原因がさまざまで複雑であり、効果がわずかな治療法しかない難治性の病態である』」

みに丸「めっちゃ効く治療法がない??それは困る」

はかせ「『がんの治療が終わってからも、何年も続く可能性があり、QOL(生活の質)を損なう。実薬とプラセボを比較したCRFの臨床試験では、実薬と見分けがつかないくらい高いプラセボ効果を示すが、プラセボだということを隠して投与することは倫理的に問題がある。近年、慢性腰痛などに対して、プラセボだということを伝えた上で投与するオープンラベルプラセボが有効だったという報告がある。がん関連の倦怠感に対して有益かどうかは不明なので、今回検証した』ということだ」

みに丸「なるほど。よくわかりました。有益な治療法がない病態にプラセボが効果を示すならアツいですね~」

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