地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2021年10月号 vol.7(10)

[特別寄稿] 国内外の事例で見る商品としてのプラセボ

2021年09月25日 02:39 by bycomet
2021年09月25日 02:39 by bycomet

プラセボ製薬株式会社
水口 直樹

はじめに

「人の為、ニセモノだからできること」を社訓に掲げるプラセボ製薬株式会社は2014年に創立されました。プラセボとは偽薬のことで、プラセボ製薬株式会社(以下、当社)は薬に似せた食品を「本物の偽薬」として販売する会社です。筆者は当社の創業者であり本稿公開時点でも代表を務めています。

当社の偽薬商品がSNS等で話題になると「プラセボ効果を狙った面白い商品」などと理解される場合もありますが、会社としてプラセボ効果を前面に出した商品説明はしていません。むしろ高齢者の薬の飲み過ぎや飲みたがりに適切に対応するための介護用偽薬/無効薬としての使用を推奨しています。

当社事業については公式ウェブサイトや他媒体での紹介記事、また拙著『僕は偽薬を売ることにした』(国書刊行会、2019)もありますので、興味があればそちらをご覧ください。偽薬は無効であるがゆえに有用だという発想は、もしかすると他分野でも応用の利く考え方かもしれません。

ところで、実は偽薬を販売しているのは当社だけではありません。本記事では特に海外の商品を中心に、その開発経緯や販売形態の違いを明らかにしつつ紹介します。

なおそれらは、世界中で蔓延している「偽造医薬品」とは根本的に異なる理念のもとに販売されている偽薬です。筆者は、偽造医薬品製造・流通の撲滅を目的とした関係機関の活動に賛意を表します。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

[特別寄稿] エビデンスを説明することの不可能性

2022年11月号 vol.8(11)

モダニズムの解体に垣間見るエビデンスと現実の接点

2022年11月号 vol.8(11)

患者にとっての「エビデンス」とは

2022年11月号 vol.8(11)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2023年3月号 vol.9(3)

「世界なんて簡単に変わるはずがない」 多くの人は疑いようのない事実だと考えてい…

2023年2月号 vol.9(2)

渦中にいると気づかないぐらい ささいな判断の違いが 後になって大きかったとわか…

2023年01月号 vol.9(1)

人らしさ それは人間が持つ、魅力的で神秘的なもの。 その聖域が 人工知能(AI…