前回の記事では、臨床的惰性が生じてしまう原因について、様々な角度から考察を加えました。臨床の場に慣性の法則をもたらしているのは、ある種の複雑性に起因するものであり、様々な要素が互いに影響しあって臨床的惰性をもたらしていることがお分かりいただけたかと思います。また、このような臨床的惰性が患者さんの将来予後を悪化させる可能性についてもご紹介しました。一方で、治療の開始や強化は患者さんの年齢や健康状態など、様々な背景要因に配慮する必要があります。臨床的惰性の是正が真に患者アウトカムを改善するものなのかについては、慎重な議論が必要でしょう。今回の記事では、臨床的惰性に対する介入と、そのアウトカムについて論じたいと思います。
【臨床的惰性に対する介入】
前回の記事でご紹介したように、臨床的惰性が生じてしまう原因は、医療者に関連した要因、患者に関連した要因、そして医療システムに関連した要因に分けることができます。したがって、臨床的惰性に対する介入アプローチも、この3つに分けて考えると整理しやすいように思います。
読者コメント