地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2022年01月号 vol.8(1)

死亡が1.79倍に―認知症高齢者の栄養を見直そう

2021年12月28日 10:46 by bycomet
2021年12月28日 10:46 by bycomet

 

 今回は、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を補充することは良くなかった、というお話です。

 進行した認知症の人に経管栄養を行うと死亡が多くなっていた、という衝撃的な論文が、2021年に発表されたのです。

 この論文を、もう少し詳しくみていきましょう。

 

総死亡が79%多い

メタ分析(Lee, 2021)[1]
  • 進行した認知症患者に
  • 経管栄養を行うと
  • 経管栄養を行わないのに比べて
  • 総死亡が少なくなるか、生存期間が長くなるのか

治療に関する疑問を検討したシステマティックレビュー・メタ分析です。

結果の概要は、以下のとおりです。

  • 12研究(5,666人)の結果を統合
  • 総死亡は経管栄養群で79%多いオッズ比 1.79, 95%信頼区間 1.04, 3.07)
  • 生存期間には有意差がなかった。

 

 進行した認知症患者に経管栄養を行うと総死亡が79%多い、という結果でした。 

 栄養がとれなくなったからといって、栄養を投与することは有害なことかもしれません。

 

 この論文から、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を与えることはよくないかもしれない、ということがわかります。

 

参考文献
1. Lee YF, Hsu TW, Liang CS, Yeh TC, Chen TY, Chen NC, Chu CS. The Efficacy and Safety of Tube Feeding in Advanced Dementia Patients: A Systemic Review and Meta-Analysis Study. J Am Med Dir Assoc. 2021 Feb;22(2):357-363. doi: 10.1016/j.jamda.2020.06.035. Epub 2020 Jul 29. PMID: 32736992.

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