今回は、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を補充することは良くなかった、というお話です。
進行した認知症の人に経管栄養を行うと死亡が多くなっていた、という衝撃的な論文が、2021年に発表されたのです。
この論文を、もう少し詳しくみていきましょう。
総死亡が79%多い
メタ分析(Lee, 2021)[1]
- 進行した認知症患者に
- 経管栄養を行うと
- 経管栄養を行わないのに比べて
- 総死亡が少なくなるか、生存期間が長くなるのか
治療に関する疑問を検討したシステマティックレビュー・メタ分析です。
結果の概要は、以下のとおりです。
- 12研究(5,666人)の結果を統合
- 総死亡は経管栄養群で79%多い(オッズ比 1.79, 95%信頼区間 1.04, 3.07)
- 生存期間には有意差がなかった。
進行した認知症患者に経管栄養を行うと総死亡が79%多い、という結果でした。
栄養がとれなくなったからといって、栄養を投与することは有害なことかもしれません。
この論文から、食事がとれなくなった認知症の人に、栄養を与えることはよくないかもしれない、ということがわかります。
参考文献
1. Lee YF, Hsu TW, Liang CS, Yeh TC, Chen TY, Chen NC, Chu CS. The Efficacy and Safety of Tube Feeding in Advanced Dementia Patients: A Systemic Review and Meta-Analysis Study. J Am Med Dir Assoc. 2021 Feb;22(2):357-363. doi: 10.1016/j.jamda.2020.06.035. Epub 2020 Jul 29. PMID: 32736992.
読者コメント