新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性や安全性については、これまでに膨大な数の研究結果が報告されてきました。成人に対する同ワクチンの感染予防効果については、プラセボを対照とした2重盲検ランダム化比較試験で有効性が示されており、議論の余地は少ないものと思います。一方で、新型コロナウイルスワクチンの安全性や、小児に対する有効性については、その多くを観察研究による知見に依存しています。
観察研究は、あらかじめ設定した仮説を検証するランダム化比較試験とは異なり、あくまでも探索的・仮説生成的な研究です。例えば、新型コロナウイルスワクチンと心筋炎の関連性を検討した観察研究が報告されていますが、心筋炎を引き起こす要因は多岐にわたることでしょう。なぜ、新型コロナウイルスワクチンと心筋炎の関連性に注目したのでしょうか。今回は、新型コロナウイルスワクチンに関する観察研究を例に、「仮説生成」の意味や、観察研究の結果を読み解く上で留意すべきポイントをまとめます。
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