地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2022年10月号 vol.8(10)

[新連載] 患者と図書館-市民が医療・健康情報を得るために- 第1回 公共図書館

2022年10月28日 21:36 by naohikoyyamaguchi
2022年10月28日 21:36 by naohikoyyamaguchi

聖隷佐倉市民病院図書室 山口直比古

1 はじめに

 

 誰でも病気をするし、病気になったときには病院へ行くことになります。そこでは、自分の状態や治療方法について医師や看護師などの医療関係者から説明を受け、今後の治療方針などについて相談をします。医療関係者から患者への説明義務については、2006年の医療法改正により、その第1条4項の2で「医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう務めなければならない」としていますし、さらに第6条第2項の2に「医療提供施設の開設者及び管理者は、医療を受ける者が保健医療サービスの選択を適切に行うことができるように、当該医療提供施設の提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供するとともに、患者又はその家族からの相談に適切に応ずるよう努めなければならない。」と規定されています。ただ、最終的に治療をするかどうかや、どのような治療をするのかは患者自身が決めることになります。その時に、医師などの説明を理解し、了解した上で決めることになります。そうした一連の過程で、自分の抱えている病気や治療方法について、自分で理解できる「情報」があると判断の助けになります。しかし、多くの場合医療関係者による説明は病気の名前や状態など専門用語を数多く含み、患者にとっては理解するのが難しく感じることが多くあります。また、患者からは医療関係者はとても忙しそうに見え、わかりやすい説明を求めたり質問するのを控えがちになります。このような場合、(もちろん医療関係者によるわかりやすい説明が一番なのですが)自分で「情報」を探さなければなりません。

 このシリーズでは、患者やその家族・一般市民がどのようにしたら医療や健康に関する情報(それも正確でわかいやすい情報)を探し、見つけ、手に入れることができるのかを、いくつかの種類の図書館や多くの種類の情報源をご紹介することでお役に立てていただければと思っております。

 紹介させていただく私(山口)は、長年大学の医学部図書館で司書として仕事をし、定年退職後は公共図書館を経て、現在は病院の図書室で仕事をしております。そこでは、医療関係者の情報探しのお手伝いをしております。中身はともかく、医学・医療情報に関わる経験だけは豊富かもしれません。

 

2 医学の本は公共図書館のどこにあるのか(分類の話)

 

 第1回目はまずお近くの公共図書館で、どのようにして医学・医療情報を探すのかをご紹介したいと思います。

 日本のほとんどの公共図書館で使われている本の主題分類は「日本十進分類法」と呼ばれるものです。この分類法では、0から9までの数字を使って主題を分類し、その番号の順に本を並べています。その番号は、本の背に貼り付けられたラベルに書かれており、その番号の意味を知ると図書館で本を探す時に大変便利です。例えば、先頭が9という番号は「文学」を表わしており、浅田次郎とか村上春樹などの小説は現代日本文学(913.6)という番号の元に並べられています。

 同じように、「医学」の本は先頭が49という番号の元に並べられています。ですから、お近くの公共図書館へ行ったらまず49の書架を探します。その中では、内科や外科などで細分され、終わりの部分には公衆衛生や薬の本が並んでいます。もう少し詳しく見ると

 

490 医学一般
491 基礎医学(解剖学【からだのしくみ】、生理学【呼吸や血液循環などのしくみ】など)
492 診断・治療一般(特定の病気の診断・治療はその病気の場所に分類する)
492.9 看護学
493 内科
493.1 全身病(糖尿病はここに分類される)
493.2 循環器疾患(心臓の病気や高血圧など)
493.3 呼吸器疾患(肺の病気)
493.4 消化器疾患(胃や腸、肝臓などの病気)
493.9 小児科(こどもの病気)
 など
494 外科
494.5 癌とその治療
494.7 整形外科(腰や膝、骨折など)
494.9 泌尿器科学(腎臓の病気など)
 など
495 婦人科・産科
496 眼科・耳鼻咽喉科
497 歯科
498 衛生・公衆衛生(栄養学を含む)
499 薬学

 

 公共図書館の本が、どのような順に並んでいるのかを覚えるのは大変ですので、覚える必要はありませんが、ご自分で特に関心のある主題については、書架のどのあたりにあるのかを大体覚えておくと便利です。何よりお勧めしたいのは、「図書館員に尋ねる」です。例えば「腰が痛いのだけれど、そのような本はどこにありますか?」というような具合です。しかし、「糖尿病は治りますか?」という質問をしても図書館員は「食事と運動に気を付けていれば治りますよ」とは答えません。なぜなら、医療に関わる事柄は医師にしかできないという法律がありますので、図書館員は「このあたりの書架を見てくださいね」というようなお返事しかできません。

        佐倉市立志津図書館の49(医学)の書架

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