新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、ドラックストアの店頭からマスクや消毒液などの衛生用品消え、市場価格も高騰したことは記憶に新しいと思います。実際、ガーゼなど医療用衛生材料の最大手である川本産業株式会社の営業利益率は、2020年の第1四半期に4.49%、同第2四半期に5.72%を記録しています。同社の営業利益率は、経常的に1%未満の状態でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに5倍以上の増加となりました。
同じくコロナ禍で注目を集めた衛生用品が二酸化塩素による除菌グッツです。「空間除菌」等の名で親しまれたこの製品は、新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、爆発的な売上を記録しました。一方で、同製品の感染予防効果に対するエビデンスは限定的であり、コロナ禍が非日常から日常に移り行く中で、消費者や市場参加者の関心も薄れていったように思います。
2022年2月18日、二酸化塩素による除菌グッツを製造販売していた大手製薬会社、大幸薬品株式会社は「たな卸資産評価損及び減損損失の計上、連結業績予想値と実績値との差異並びに役員報酬等の減額に関するお知らせ」という適宜開示を行っています。なお、適宜開示とは、投資家保護の観点から企業に義務付けられている「重要な会社情報の開示」のことです。
今回の記事では、商品(たな卸資産)評価損と減損損失を解説したうえで、大幸薬品株式会社の経営戦略を財務事実に基づいてレビューしたいと思います。
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