聖隷佐倉市民病院図書室 山口直比古
1 はじめに
2017年12月に、Googleのウエッブマスター向け公式ブログに、下のような記事が掲載されました。
https://developers.google.com/search/blog/2017/12/for-more-reliable-health-search?hl=ja
医療や健康に関する情報の検索結果をより的確にするため、Webページの評価方法を改善し、医療従事者や専門家、医療機関などが提供するページが「より信頼性が高く有益な情報」として上位に表示されやすくなる、というものです。
Googleが何故このような改善をした(しなければならなかった)のでしょうか。それは、ちょうどこのブログ記事の一年前に起こったある事件がきっかけでした。DeNAの提供するWELQ(ウエルク)というサイトの健康情報に、とんでもないデタラメ記事が多数掲載され、社長が謝罪会見を行いサイトを閉鎖した、というものです。毎日新聞を始めとしてマスコミでも大きく報道されました。
毎日新聞の記事
https://mainichi.jp/articles/20170810/k00/00m/020/040000c
WELQに掲載された内容としては、例えば「火傷は濡れたタオルで冷やす」のような記事がありましたが、もちろんこれは間違いで、傷口にタオルが張り付いてしまうこともあるので流水で冷やす、が正しいのですが、このような医学的には間違った記事が数多く掲載され、加えてGoogleなどの検索サイトでは、目につきやすい最初のページにリストされるというようなことが起こっていました。
このような出来事を背景として、ネットの健康情報を見直すという社会的な動きがあったのです。Googleに続き翌2018年1月にはYahoo!でも「癌」に関するキーワードでの検索結果は、国立がん研究センターのがん情報センターと協力して結果の上位に出るようにしました。患者や市民が、医療・健康情報を求めて図書館へ行く、という行動はまだまだ定着していません。この連載の前回の記事でご紹介したように、多くの市民がインターネット上の情報を探しているのが現状です。
本当は図書館へ行き、専門の司書にご相談いただくのが一番のお勧めなのですが、今回から2回にわたり、図書館へ行かなくてもできる「適切な」情報を得るための方法についてご紹介してみようと思います。
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