前回はメンタルヘルス領域における真のアウトカムとは何だろうか?という話をしました。
一般的に避けるべきアウトカムを考える際の「6つのD」というものをご紹介しましたが、その一つである「Death=死」・・・精神疾患では長期入院という「社会的な死」とも言える状態も考慮しなければなりませんでした。
一方で、精神疾患で直接死ぬようなことなんて無さそうなイメージを持ってる方も多くおられますが、少し考えてみると、自殺によって「死」というアウトカムを迎える患者さんは多いであろうことは容易に理解していただけると思います。
では、それはどの程度なのでしょうか。
実は、精神疾患は自殺以外の死因も全て足し合わせた総死亡リスク(all cause mortality)も一般人口より高いという報告があります。今回はそれを示す論文を取っ掛かりに、自殺対策はどうあるべきかとうつ病という診断の成り立ちについて考え、そこから見えてくる精神疾患の診断や治療(特に薬物療法)の捉え方について考えてみたいと思います。最後までお読みいただけると、チェックリストのようなもので簡単にうつ病だと判断してとりあえず薬を飲んでみても良くなることはまず無いのはなぜか、ITなどの科学技術が発展した将来においても精神疾患の診断はコンピュータには下せないだろうということが分かるのではないかと思います。

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