今振り返ると、私が学生時代、薬学部の授業では、医薬品がどのように作用するかについて学んできましたが、医薬品が人の一生にどのような影響を与えうるのか、について、学ぶことは少なかったように思います。
それは、大学を卒業後、薬剤師8年目の夏でした。私はACOORD試験1) という2型糖尿病の臨床試験や、チオトロピウムレスピマットという薬剤の死亡リスク増加を示した論文情報2) を知り、学生時代に学んだ病態生理学的知見との見事なギャップに大変衝撃を受けました。そして、それをきっかけに論文情報を解釈するために必要な知識として、主に統計学や疫学についてインターネットを活用しながら調べていたところ、EBM(evidence-based medicine)というキーワードにたどり着いたのです。
学生時代EBMという言葉は習ったものの、具体的にどのようなものかを学んでこなかった私は、次第にEBMに興味を持つようになります。そして私の薬剤師人生を大きく変えることになるEBMの研修会に参加することになります。
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