地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2015年11月号 vol.1(9)

「事例から学ぶ疫学入門」 第3回:がんの早期発見と5年生存率

2015年10月19日 11:13 by syuichiao

 5年生存率という言葉を聞いたことはありますか?

 5年生存率とは、治療開始後あるいは診断後、5年間生存している患者さんの割合のことで、特にがんの治療評価等に良く用いられる予後指標です。簡単に言えば、ある集団の5年生存率が10%だとしたら、集団における5年後の生存割合は10%であり90%は死亡している、ということです。

 実はこの5年というのは何か特別な根拠があるわけではないようです。がんによる死亡の多くが経験的に5年以内に発生することから、がん治療の有効性を示す指標として用いられることが多いのです。5年生存率が高ければ一般的には、その治療効果が高いとか、がんの予後が良いと思われますよね。

 近年、がんの早期発見、早期治療という考え方が一般的になり、がん検診も積極的に行われるようになってきました。がんを早期に見つければ、それだけ完治できる可能性が高いというような考え方に多くの場合で違和感がないと言えませんか?WEB上では(がんの)ステージが進行するほど「5年生存率」は大きく下がることからも、"がん治癒のカギ"は"早期発見"であると言えます、というような記載もありました。

 がんの早期発見というのは5年生存率の改善と密接な関係があるのですが、実はがんを早期発見することで改善した5年生存率というのは実質的に全く意味のないケースがあるのです。どういう事でしょうか。今回は早期発見と5年生存率についてまとめていきます。

(図1)早期発見と5年生存率

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