地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2017年05月号 vol.3(5)

生命倫理

「無益な治療」論再考1:「無益」と「潜在的不適切」

1月号の記事「『無益な治療』論とDNAR指示」で書いた「無益な治療」論について、最近とても興味深い論文を見つけて読みました。「医学的無益」の定義をめぐる議論が新たに大きく動いてい…

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「無益な治療」論再考2:「医学的無益」と「分配(レーショニング)」

私が「重症障害児者からの一方的な治療の引き上げの正当化論」として機能する「無益な治療」論の存在を初めて知ったのは、10年も前のことでした。米国テキサス州で1歳半の難病の男児からの…

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他の号の記事

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 8

読者のみなさん、こんにちは。先月はお休みをいただき、2か月ぶりの登場となります。この間に新型コロナウイルスへの感染者がなぜか激減し、娘の施設では第5波が落ち着くやLINE面会をす…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 7

ここしばらく、コロナ禍における施設や病院での面会禁止について考え続けてきて、こちらの「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流」シリーズは昨年9月号からご無沙汰となっておりました。もちろ…

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コロナ禍の生命倫理に関するニュース拾い読み

① コロナ禍の長期化で安楽死考える高齢者が増加。高齢者施設の過度な面会や活動の制約に人権侵害との声も。コロナ禍により、高齢者福祉施設での面会禁止措置が入所者のQOLひいてはメンタ…

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京都ALS嘱託殺人事件から「死ぬ権利」と医療職の権限について考えてみた

7月に発覚した京都ALS嘱託殺人事件に、その後、新たな展開がありました。容疑者の医師2人が、今回の被害者とは別の女性がスイスの自殺幇助団体に提出したメディカル・レポートを別の医師…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 6

読者の皆さんもご存知のように、京都でALSを患う女性の「死にたい」という希望を受けて、ネットで知り合った2人の医師が女性を殺害するという、衝撃的な事件が7月に発覚しました。私は、…

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コロナ禍での欧州トリアージ・スキャンダル:介護施設には救急車が来てくれない! 高齢者には緩和ケアで安楽死?

(入所者の)男性が目の前で苦しいと泣いていて、病院で治療してもらわないといけないと思うのですが、7回も112(救急車を要請する電話番号)にかけても対応してもらえませんでした。2時…

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新型コロナ感染拡大下でのトリアージをめぐる米国の議論を覗いてみた

私が理事に名前を連ねる日本ケアラー連盟では、新型コロナウィルス感染の拡大を受け、3月21日(土)から30日(月)までインターネット上でケアラーへの緊急アンケートを実施しました。3…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 5

2月の初め、夫婦である映画を観にいきました。その最後のあたりに、現在さまざまに隠微な形で拡がる優生思想をあまりにあからさまに表現するセリフが登場して、ぎょっとしました。具体的な言…

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重い障害のある人の親の立場で考える・子どもをデザインする親たち~Designing Parents, Shaping Parents~

読者のみなさん、お久しぶりです。しばらくお休みをいただいておりました、spitzibaraです。その間に何をしていたかについては、また改めてご報告しますが、今回は昨年12月19日…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 4

8月31日(土)、広島市内で日本緩和医療学会第2回中国四国支部学術大会「つながりを大切に」(大会長小原弘之)が開かれ、spitzibaraは部外者ながら、教育講演をされた神戸の緩…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 3

① 米国ニュージャージー州で医師幇助自殺合法化決定1)3月25日に法案が議会を通過し、4月12日に知事が署名して法律となりました。施行は8月1日とのこと。これにより、米国で医師幇…

  いいね!   spitzibara spitzibara from 2019年06月号 vol.5(6)

エイドリアン・オーウェン『生存する意識ー植物状態の患者と対話する』を読んで

昨年12月号の記事「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流2」の「③米国では植物状態、最小意識状態の新たな診断ガイドライン:誤診率4割」で簡単に触れた、エイドリアン・オウェンの著書を読…

  いいね!   spitzibara spitzibara from 2019年05月号 vol.5(5)

生命を操作する技術の「すべり坂」で起こっていること

地域医療ジャーナル読者の皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。とはいえ、この原稿を書いている現在は2018年12月の前半。つい半月前の…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 2

今年の6月号の記事「世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流1」で、折に触れて世界の安楽死と医師幇助自殺の近況を取りまとめてシリーズ化したいと書いたまま、半年が過ぎてしまいました。この間…

  いいね!   spitzibara spitzibara from 2018年12月号 vol.4(12)

英国高等法院「家族と医師が『最善の利益』と合意すれば、植物状態と最小意識状態の人から栄養と水分の引き上げは可」

7月30日、英国の高等法院が衝撃的な判断を示しました。植物状態と最小意識状態の人への臨床的補助による栄養と水分(CANH:Clinically Assisted Nutritio…

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世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 1

「死ぬ権利」をめぐる議論――具体的には積極的安楽死と医師幇助自殺(PAS:physician-assistedsuicide)の周辺で――世界ではいったい何が起こっているのか、に…

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強制不妊手術は「過去の出来事」でしょうか?

このところ、かつて「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的とした優生保護法(1948年から96年)下で障害のある人々に行われた強制不妊手術の実態が、次々に明るみに…

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無益性をめぐる判断のジレンマ ~余命数週間の患者への白内障手術・「準植物状態」乳児の生命維持中止~

治療の無益性をめぐる判断と、限られた医療資源の公平な分配(レーショニング)という2つの――頻繁に混同されるけれど本来は別の議論であるはずの――問題については、これまで以下の記事な…

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Medical Assistance in Dyingという「すべり坂」:世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流

先日、重症児者領域の福祉関係者とお話している際に、話がちょっと「安楽死」に触れました。その瞬間、相手の方が身を乗り出し、にわかに食らいついてこられたのが分かりました。「spitz…

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アイスランドではダウン症が「撲滅」された……?

10月の特集号の編集後記で、bycometさんは「冷たい医療」を以下の二つの姿勢として要約されていました。「これが正しいのだから従いなさい」「検査や治療があるのだからやりなさい」…

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