地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2022年04月号 vol.8(4)

ねこと学ぼう、おくすり情報 第4話「インスリンを注射しているのに血糖値が下がらない!?」

2022年03月12日 21:23 by ph_minimal

はじめに

今回はインスリン注射にまつわるピットフォールをご紹介します。ピットフォールとは落とし穴という意味だそうですね。医学書でよく用いられるワードです。私自身は、今月号の原稿をアップしたつもりになっていて締め切り日を迎えそうになるというピットフォールに陥りそうになりましたが、華麗に原稿をアップしました!(←それはピットフォールとは言わぬ。ただの不注意である)

 

ねこと学ぼう、おくすり情報 第4話「インスリンを注射しているのに血糖値が下がらない!?」

みに丸「うーん…」

はかせ「どうしたんだい?」

みに丸「インスリンを使っている糖尿病の患者さんなんですけど、血糖コントロールが悪いみたいで…」

はかせ「ほう…」 

 

みに丸「超速効型インスリンを1日3回食直前、持効型インスリンを1日1回就寝前に注射しているんですが、インスリンの単位を増やしても血糖値が改善しないそうなんです」

はかせ「なるほど。ゆっくり効果が持続する持効型インスリンと、食事による血糖値上昇を超速効型インスリンで抑える強化療法だね。1日4回も注射するとなると、きちんと打てているのか心配なところだけど…」

みに丸「注射の手技は大丈夫です。空打ち(試し打ち)はちゃんとやってますし、うっかり打ち忘れている可能性も低いです。『処方された本数』『インスリン単位』『受診間隔』を確認してますが、受診間隔が空いているってことはないですし、残薬の発生もありません」

 

※補足

錠剤は飲み忘れの有無がわかりやすいのですが、インスリンはちょっとわかりにくいです。

錠剤であれば、「1日1回1錠 30日分」といった具合に処方されるので、処方日数と受診間隔がぴったりなのに自宅に残薬があったり、処方日数よりも受診間隔が長ければ飲み忘れの可能性あることがわかります。 

一方、インスリンは本数で処方されます。1本300単位のインスリンを3本処方されたら、計900単位となります。1日に何単位使用するかは患者さんによって異なるので、何日分に相当するのかについては患者さん次第です。

仮に1日30単位(試し打ち込みで)使用するなら、300単位のインスリン1本で10日分、3本で30日分となります。1ヶ月おきに3本処方されているならピッタリなくなるはずなので、患者さんが「残薬がある」と言ったら打ち忘れの可能性があります。あるいは、1ヶ月おきに2本ずつ(20日分)しか処方されていなければ薬が足りなくなるはずです。それで「薬は足りている」と患者さんがおっしゃるのだとすれば、打ち忘れている可能性があるということになります。

薬局では「患者さんが1日に何単位使用するか」「いつ、何本処方されたか」がすべて記録されているので、計算すれば打ち忘れがあることが予測できます。

 

はかせ「なるほど。きちんと計算しているんだね」

みに丸「はい。ご家族にも確認していますが、毎日きちんと注射しているとおっしゃっていました。ご本人も治療に前向きなので、食事量にも気をつけており、ご家族に黙って、こっそり間食しているということもないと…」

はかせ「ふむ…。血糖コントロール不良の原因がはっきりしないんだね」

みに丸「そうなんです」

はかせ「ふーむ…。ひとつ思い当たるふしがあるな」

みに丸「えっ!?そこんとこ詳しく!」

 

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