人は、自分に関心のあることしか関心を持たない。
だからこそ、広い視野でとらえるようにしたい。
ざっくりといえば、今回はこんな話です。
治療の決断の場面で
医療の実践、特に治療の選択の場面において、このようなことがよくおこります。
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治療に効果があるというエビデンスがあっても、選択しない。
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治療に効果がないというエビデンスがあっても、選択する。
人の関心は多様なもの。
治療が有害だとわかっていても、その道を選択することがあります。
医療者にとっては、おなじみの光景です。
自分に直接関連のある関心で治療を決断していく
こんな選択をしてしまった経験、あなたにも何か心当たりがありませんか?
誰しも合理的な判断よりも、自分に直接関連のある判断のほうを優先することがあります。
たとえそれが自分の生命を左右するような、重要な決断においてでさえも。
自分に直接関連のある関心で治療を決断していく医療のことを、
ここでは「relevant(な医療)」と呼ぶことにします。
relevantは関連する、関係のある、といった意味あい。
自分の関心によって判断するという本稿の文脈では、「関心相関性」というコトバのほうがしっくりきます。
日本語にしても、カタカナにしても(レレバント?レリヴァント?)、ちょっとすっきりしないので、あえて英語のままで表記しておきます。
このような現実的な決断について、もう少し深く知ってみたいと思います。
関心を知ることは、エビデンスを知ることと同じくらい、いや、それよりもっと大事なことのように感じるからです。
過去記事「ステップ4の事例集積を」の続編
実はこのテーマ、ひとつの記事にしたことがあります。
2020年10月号 vol.6(10) ステップ4の事例集積を
EBM (Evidence-based medicine)の実践において、エビデンスを実際にどう適用するか、というステップ4に該当する部分です。
EBMはエビデンスの質ばかりが注目されがちですが、臨床医としてはエビデンスのその先のところが最も重要であり、おざなりになっているのではないか、という問題提起でした。
今回はこの記事の続報という位置づけになります。
(あれからもう、1年以上経っているなんて!)
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