地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2016年01月号 vol.2(1)

障害者家族として10年後の医療に望むこと~LIFEを支える「脇役」としての医療~

2015年12月18日 09:33 by spitzibara
2015年12月18日 09:33 by spitzibara

 娘を通じて医療と密接に付き合いながら、医療職との間で様々なギャップを感じてきました。その中で最も大きなものは、医療と生活の関係性をめぐるギャップです。 ここでいう「生活」というのは、単に日々の生活や暮らしだけではなく、人生とか、生きるということそのものを含み、いってみれば英語のLIFEという単語の多様な広がりを持った言葉として。ただそれでは表現しにくいので、ここではとりあえず「生活」という言葉で代表させてみているものです。

 病いや障害とともに暮らしている本人と家族にとって、医療はもちろん大切なものですが、それでも、あくまで「生活の中の一部として医療がある」という感覚です。つまり、私たちにとっては生活、LIFEのほうが医療よりも圧倒的に大きい。

 ところが、医療職の方と話していると、その感覚がどうも逆転しているような気がします。医療職にとっては「医療の中に生活がある」。医療のほうが生活よりも大きい。別の言い方をすれば「医療が生活よりも優先」という感覚なんじゃないでしょうか。

 もちろん、急性期の病気で治療が必要になると、一時的に医療を生活よりも優先させなければならない事態もあります。もともと病院というところが、患者が医療を最優先して一時的に自分のLIFEを離れて身を置く場所でもあるわけです。

 今では医療の場が急性期病院の外にもいろいろ広がってきた一方で、医療職の頭とか感覚は、依然として、この急性期病院の文化に留まっている、という面があるのではないでしょうか。

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