地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2016年06月号 vol.2(6)

米国のオピオイド鎮痛剤のファーマゲドン

2016年05月21日 22:37 by spitzibara

 4月に、米国人歌手のプリンスさんが急死されました。私は音楽に疎く「名前は知っている」という程度なので、その時はニュース・タイトルだけを読み流したのですが、その後、5月に入って、プリンスさんが死の前日にオピオイド鎮痛剤依存症治療の専門家と会う約束になっていたことが報じられました1)。この時には、タイトルを見た瞬間、我知らず、身体がガバッと椅子の背もたれから起きてしまいました。米国で医師に処方されたオピオイド鎮痛剤で依存症になる人が多発している問題については、2009年あたりからブログで情報を拾っていたからです。

  昨年11月には、ジョンズ・ホプキンス大の研究者らから、「米国の致死的なオピオイド・エピデミック」を制すべく、医師や薬剤師への研修やガイドライン強化など、サプライ・チェーンに焦点化した対策が必要だとの提言が出たり2)、この3月にはFDAが長時間放出型の製剤で2013年に強化した警告表示を即時放出型の製剤にも適用するとのニュース3)を見たばかりでもありました。

  私が「ファーマゲドン」「ピル・ミル(カネ儲けのために安易に大量の薬を処方する"薬の自動販売機”のような医師や診療所のこと)」などの文言と出会ったのも、たとえば以下のエントリーで読んできた、この問題の関連記事からでした。

 米国の"鎮痛剤問題”(2012/10/19)

 "オピオイド鎮痛剤問題"の裏側(米)(2012/10/20) 

 ファーマゲドン:オピオイド鎮痛剤問題の更なる裏側 (2013/1/4)

 これらの情報から浮かび上がってくるオピオイド鎮痛剤問題の背景は、地域医療ジャーナル 2016年02月号の記事「NYT記事『薬、強欲、そして少年の死』~よみがえる2008年」で簡単に紹介した、子どもへの向精神薬の過剰処方の問題の構図と、とても似通っています。

薬

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

世界の安楽死と医師幇助自殺の潮流 3

2019年06月号 vol.5(6)

エイドリアン・オーウェン『生存する意識ー植物状態の患者と対話する』を読んで

2019年05月号 vol.5(5)

生命を操作する技術の「すべり坂」で起こっていること

2019年01月号 vol.5(1)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2019年06月号 vol.5(6)

記事が濃縮していく。 そんなことなんて、あるはずがないと思っていた。 時間...

2019年05月号 vol.5(5)

平成から令和の時代を迎えました。 新しい時代は、どんな色に染められていくの...

2019年04月号 vol.5(4)

あたたかく、おだやかな季節。 ちょうど桜が満開となりました。 一斉に華やか...