地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2017年03月号 vol.3(3)

身体を病むと心の調子も悪くなりがちですが、心を病むと身体も調子が悪くなるのですか?

2017年02月20日 13:19 by 89089314
 「心身一如」という言葉があります。元々は仏教用語ですが、一言でいうなら「心と体は不可分である」ということですよね。
 私たちは普段、体の調子がどこか悪ければそこを治療してくれる病院にかかったり薬を飲んだりしますが、その時に心の調子を気にかける人はあまりいないかもしれません。逆に、ひどく落ち込むような悩みを抱えているからといって忙しい仕事や家事を積極的に休むような人もあまりいないように思います。
 私たちは、ついつい普段の生活では、心と体を別のものとして考える傾向にあるといえます。

 しかし、よく考えてみると、何か重大な病気や障害を抱えてしまった人が心の調子を崩してしまうことは、よくあることで仕方のないことだと多くの人が考えるでしょうし、逆に、心の不調が体の不調として現れることがあるというのも多くの人が納得するところでしょう。
 例えば、がん患者におけるうつ病の有病率は、診断基準にもよりますが、一般の健康な人と比べて2〜3倍に達することが示されています。

Caruso R, et al.
Depressive spectrum disorders in cancer: prevalence, risk factors and screening for depression: a critical review. 
Acta Oncol. 2017 Jan 31:1-10. 
PMID: 28140731.

 また、うつ病と診断された患者のうち身体症状のみを訴えた割合は、医療機関によって大きく異なるものの、45〜95%とかなりの割合にのぼるという報告があります。

Simon GE, et al. 
An international study of the relation between somatic symptoms and depression. 
N Engl J Med. 1999 Oct 28;341(18):1329-35. 
PMID: 10536124.

 このように、体の問題で心が不調になることもあれば、心の問題で体が不調になることもあるというのは、このような疫学研究を踏まえるまでもなく私たちは当然のこととして認識しているのではないかと思うのですが、では、「心の不調のせいで新たに身体的な疾患を発症してしまう」としたらどうでしょうか。特に、がんになればうつ病になりやすいのは理解できても、うつ病になるとがんになりやすくなるとしたら……
 実は最近、そのような報告がいくつかあるのです。今回はそれについてお話ししてみたいと思います。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

ストレスが心臓に悪いというのは本当ですか?

2018年11月号 vol.4(11)

高齢者に対する抗精神病薬〜その効果と懸念はどれくらい?〜

2018年08月号 vol.4(8)

睡眠薬や抗不安薬を減らすことができる薬はありますか?

2018年06月号 vol.4(6)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2019年10月号 vol.5(10)

絵を描こうと思って 描いてみたら 最初のイメージと全然ちがったものになり ...

2019年09月号 vol.5(9)

世界を広くとらえるには どんな方法があるのだろう 自分たちの世界を知ってほ...

2019年08月号 vol.5(8)

いよいよ、夏到来。 梅雨空の下では待ち遠しかったはずの暑さも、 今では季節...