この原稿が記事になる頃にはもう勝敗は決していると思いますが、これを書いている時点では、いよいよプロ野球も佳境を迎えた感じです。野球ファンとしてはペナントリーグの行方から目を離せないとともに、ひいきのチームがあればその勝敗に一喜一憂していることと思います。かく申す私も生まれたときからの広島カープファンでして、今年はカープ史上初のリーグ3連覇、そして昨年、一昨年と逃してきた「日本一」を達成していただきたいところなのですが、そうはやすやすと勝たせてはもらえませんで、しかも毎試合安定感のない展開に毎度毎度浮き沈みを感じて過ごしています……多分、野球好きな人ならよく分かっていただけるかと。
そんな私は去年のクライマックスシリーズ(での敗退)や一昨年の日本シリーズ(での逆転負け)ではひどくストレスを感じていたものですが、それに関連した論文が先日出てきたんですよね。ツイッターのほうでもネタにしましたが、なんと、日本シリーズ中は病院外で心臓止まりやすくなるよ、という論文です1)。
「病院外で心停止」ということは要するに突然死という風に捉えて差し支えないかと思いますが、確かにスポーツ観戦で心臓が止まるような思いをすることや、血管ブチ切れてしまうような思いをすることはあるかもしれませんが、プレイしている本人でもない人がぶっ倒れるなんてことがあるんでしょうか? あったとして、いくら日本人は野球好きな人が多いとはいえ、そういう人が日本シリーズ見てバタバタ倒れるぐらいじゃないと統計学的に有意にならないのでは? という気がしますが、なんと似たような論文として、サッカーのワールドカップでは、2006年のドイツ大会においてドイツ国内では他の時期や年と比べて心血管疾患が増えたというものがあるんですね2)。
今回はこれらの論文の解説から、ストレスが突然死(特に心臓)に与える影響について考えてみたいと思います。
1) Am J Cardiol. 2018 Jun 15;121(12):1471-1476.
2) N Engl J Med. 2008 Jan 31;358(5):475-83.
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