今回は、自宅で長期臥床状態にある高齢者について。
下剤で効果がみられない頑固な慢性便秘に対して、自宅で定期的な浣腸を行う指示を訪問看護師へ依頼することがしばしばあります。
そんな対応をしていた、ある高齢女性についての話が発端です。
浣腸を繰り返すと効果が弱くなりますか?
先日、訪問で下剤や浣腸の処方調整を行っている薬剤師から、「訪問薬剤管理指導報告書」にこのようなコメントをいただきました。
「浣腸に頼りすぎると、効果が減弱していく可能性がありますので、ご注意を」
一般的にそのように言われていることは知っていますが、むしろうまくコントロールできるようになったり、介護負担が軽減できたりすることも多いような印象でした。
効果が減弱するというエビデンスが、あるのでしょうか。ちょっと気になります。
PECOで定式化
そこで、EBMの5つのステップに従って、調べてみることにしました。
まず、疑問の定式化から。PECO(P:どんな人に、E:何をすると、C:何と比べて、O:どうなるか)の項目で、疑問を整理しておきます。
P: 長期臥床状態の高齢者に
E: 定期的に浣腸(+下剤)を行うと
C: 下剤のみに比べて
O: 排便回数が少なくなるか、下剤使用量が少なくなるか
「効果が減弱する」を評価するための項目(O)って、一体何でしょうか?
とりあえず、「排便回数が少なくなるか」「下剤使用量が少なくなるか」としておきました。
添付文書の記載
薬の添付文書はどのように記載されているのでしょうか。添付文書、インタビューフォームを確認してみました。
グリセリン浣腸
重要な基本的注意
連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
確かに、記載がありました。
「耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになる」ということですね。
ところが、ここに引用文献はありません。
この記述の根拠は何か、製薬会社に問い合わせてみました。
そこで、意外な回答をいただくことになります。
読者コメント
shimohara-yasuko
一般公開 ちょっとした疑問や小さな気づきをそのままにしないことが、E...