地域医療ジャーナル ISSN 2434-2874

地域医療ジャーナル

2020年03月号 vol.6(3)

死別・離婚・独身は死亡リスクが増加する?

2020年02月11日 21:44 by kangosyoku_no_ebm
2020年02月11日 21:44 by kangosyoku_no_ebm
 現代は超高齢者社会であり、人口減少社会でもあります。
 
 国立社会保障・人口問題研究所の発表しているデータによると、 高齢者人口割合は2015年で26.6%と既に4人に1人を上回る状態であるのにも関わらず、2036年には33.3%と3人に1人を占めるようになると推計されています[1]。
 
 そして、2015年の日本の総人口は同年の国勢調査[2]によれば1億2709万人でしたが、国立社会保障・人口問題研究所の発表[3]によると2040年に1億1092万人、2053年には1億人を下回って9924万人となり、2065年には8808万人になると推計されています。
 
 加えて、2017年の国民生活基礎調査[4]によると、高齢者世帯における単独世帯は1989年の13.1%から、2017年には26.4%となっており、だんだんと増加してきていることが示されています。
 
 こういう話題になるとどうしても悲観的な話になりがちですが、「人口減少そのものは問題ではない」「全ての国で経済成長が目標なわけではない」という指摘もあるようです。
 
 しかし、いずれにせよ
 
・高齢者が増える
・単身者が増える
・人口が減少する
 
 ということに関しては十分にコンセンサスが得られているのが現状と言えます。
 
 要約すると、「独りで生きる高齢者が増える」ということになります。
 
 2015年の国勢調査[5]によると、75歳以上の人では男性で19.4%、女性で61.4%が死別・離別を経験していると報告されていることからも、結婚している高齢者でも、独りで生きていくことになる可能性は十分にある訳です。
 
 現役世代のときは多くの人が「会社」というムラ社会の中にいるので色々と繋がりもありますが、引退後はそことのつながりも薄くなり「家族」のみのムラ社会になり、人によっては独りで生きることになります。
 
 前述の超高齢社会、人口減少社会に個人化の傾向も相まって、この流れはますます強くなりそうです。
 
 個人的に「一人ひとりが『独り』で生きていく時代」ということについて関心があったので、関連の書籍を読んだり論文を読んだりしていると、日本で行われた「死別や離婚が健康状態に影響を与えるかもしれない」という興味深い論文があったのでご紹介します。
 
【参考文献】
 
[1]日本の将来推計人口(平成29年推計)p4 (2020年1月27日にアクセス)
 
[2]平成27年国勢調査 人口等基本集計結果 p3 (2020年1月27日にアクセス)
 
[3]日本の将来推計人口(平成29年推計)p2 (2020年1月27日にアクセス)
 
 
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