キノコは独特の風味と歯ごたえをもち、炒めものやパスタソースなど洋食・和食を問わず、料理には欠かせない食材の一つでしょう。
自然界には2,000種以上のキノコが存在するといわれており、世界的には、このうち約25種が頻繁に食材として用いられているそうです(国によって食されているキノコの種類は変わるため諸説あるようです)【1】。マッシュルーム、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケなどは人為的に栽培がおこなわれていますが、世界的には中国での生産が最も多く、次いで米国となっています。その生産量は1970年から2011年にかけて100万トンから770万トンまで増加し、1980年の生産量と比較すると2011年では実に5倍の増加です【2】【図1】。
【図1】キノコの生産量(参考文献2より筆者作成)
代表的な食用キノコの栄養成分について【表1】にまとめます。脂肪分が少なく、他の野菜類と比較してタンパク質の含有が多い印象です。菜食主義の方にとっては貴重なタンパク源となる食材でしょう。
【表1】食用キノコの栄養成分(参考文献1より筆者作成)
キノコにはビタミン(特にビタミンD)やミネラルだけでなく、様々な生理活性物質が含まれており、健康や美容に良い食材だと考えられています。特に、免疫調整作用を有する多糖類のβグルカンや、降圧作用やコレステロール低下作用を有するエリタデニンなどの成分が注目を集めているようです。そのため、キノコは高血圧や、脂質異常症などの慢性疾患予後の改善、便秘の解消、肥満予防に効果的であるといわれることも少なくありません【3】【4】。とはいえ、実際のところはどうなのでしょうか。今回はキノコを食べることで、本当に健康になれるか? という疑問について、疫学的な研究データをもとに考察をしてみます。
【参考文献】
【1】Int J Microbiol. 2015;2015:376387. PMID: 25685150
【2】J Nutr. 2014 Jul;144(7):1128S-36S. PMID: 24812070
【3】Molecules. 2018 Nov 5;23(11). pii: E2880. PMID: 30400600
【4】Int J Med Mushrooms. 2012;14(2):95-134. PMID: 22506573
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